コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年4月18日

 本紙の研修記者が一時帰国し、2008年のブラジル日本移民百周年時に研修していた元記者らや特派員と東京で酒席を共にした。取材時の思い出話やコロニアの現況などを肴に大いに盛り上がったとの報告を受け、嬉しく思ったと同時に5年も経ったのかと少々感慨深いものを感じた▼集まった3人全員が結婚した。子供ができた2人は家も購入している。それぞれの人生にとって、この5年は百周年時の忙しさにも増して充実した年月だったに違いない。コラム子が無為な時間を過ごしているとは思わないが、時の経つのは早いものだ▼同様に5年が経ったコロニア。百周年後の日系社会は衰退するという見立てが多かったが、紙面を見るにまだまだ元気といえそうだ。コロニアの主役が日本語の読めない世代になったことで広告収入、もちろん購読者の減少は否めないだけに、一世がまだまだ元気という記事を載せることに喜びを感じるのは邦字紙の〃職業病〃だろう▼いまや老人と呼んだら怒られる。熟年クラブの特集ページを13日に掲載した。会員募集が目的だが、五十嵐司会長はじめ理事らの「邦字紙を助けよう」という思いが込められたものだ。まだ捨てたものではないと嬉しくなるではないか▼先週末にあった文協古本市では過去最高の売り上げを記録した。興味深いのは高齢者が多いだけに売れ筋が偏っていた以前に比べ、辞書などの売り上げが大きかったという。数万いるといわれるデカセギ帰りの若い世代なのでは—と想像した。とってつけるようだが、戦後移住60周年が3カ月後に迫る。一世の頑張りを期待、紙面にも反映させたいものだ。(剛)