コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2013年4月25日

 ホームレス用施設で暮らしながら愛知大に通うラファエル・ユキオ・クスキさん。日本における彼の人生は外国籍、片親、養父母、一足遅れの高校入学—など日本人が「非行の原因」と敵視する要素が山盛りだ。トドメはホームレス…。そこから大学入学したのはまさに起死回生の壮挙だ。
 日本の子どもが歩む人生の〃レール〃は強固だ。一旦外れれば、選択肢は少なく、周囲の目はごく冷たい。巻き返しには苦労が伴うし、そのまま落伍者になる人も多い。
 ジャパンタイムスで報じられて1カ月近く経つが、日本のメディアに出る気配はない。しかし彼の存在は日系人だけではなく、増えつつある日本人の困窮学生を勇気付けるだろうし、なにより〃レール〃を脱線した子どもに夢を与える何かがあるような気がする。(阿)