コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年5月9日

 文協木多体制は3期目に突入した。選挙への関心も低く「どうぞ勝手にやってチョーダイ」と思っている向きも多いのではないだろうか。同じく単一シャッパで続投を決めた原田清評議員会長に手を引き上げられる形で勝利のこぶしを掲げる無表情の木多会長の姿は、2年前同様マリオネットのようだった▼代わり映えのしないメンバーの中で目を引くのは女性初の第1副会長となった呉屋春美さんの存在だ。背も高く華やかな印象があるが、改めて経歴を聞くとエンシャーダ経験もあり、ブラジル社会で活躍してきたバランスの人だという感を持った▼5歳のとき、家族5人で沖縄からパラナ州カンバラに移住、コーヒー園で働く両親を手伝いながら学校に通った。大学卒業後、土木技師などを経て、現在はサンパウロ州税務局に勤務する。出向する形で刑務所のシステム管理にも尽力している▼沖縄県人会での活躍もなかなか。県主催の「ジュニアスタディーツアー」「ウチナーンチュ大会」に関わり、08年の県人移住百周年式典の司会、沖縄からの芸能団体受け入れコーディネートなど交流事業の要を担ってきた。同じく県系副会長の花城アナクレットさんと「近々、県人会にあいさつにいく」予定だという。規模でいえばコロニアの双璧が手を取り、いい結果を生むことも期待したい▼他副会長に目を遣ると、青年文協やABUNIで活躍してき西村リカルド氏が第5に。今までシンボルのように若者代表を必ず会長に入れてきたが、誰一人として頭角も存在感も表さず、わずか1期で去っていっただけに、期待はしたいが評価は後に譲るべきだろう。(剛)