「若宮丸」の記念碑建設へ=日伯最古の絆210周年=宮城県人会、現地団体が協力=佐藤移住家族会会長「市長に掛け合う」

ニッケイ新聞 2013年5月17日

 宮城県人会(中沢宏一会長)とニッポ・カタリネンセ協会(ANC)、宮城県海外移住家族会の佐藤冨一郎会長=石巻市在住=が協力し、1803年にサンタカタリーナ州都フロリアノーポリス市付近に日本人が初上陸したことを顕彰する石碑設置の動きが本格化している。今年210周年を迎える日伯最古の絆を顕彰する記念碑となる。佐藤さんは「日伯間の絆を深める活動に参画できることは光栄」と強い意欲を見せた。

 佐藤さんは同県人会の佐藤栄記副会長の実兄で、甥っ子・栄理男さんの結婚式に出席するため来伯し、先月16日からこの13日まで滞在、全伯を旅行していた。
 記念碑の発起人・中沢会長は、先月中旬頃からANCと連絡をとりながら計画を進め、石巻市出身の佐藤会長にも話を持ちかけ、「地元に関係することで関心は持っていた」と快諾された。
 現在、ANCを通してSC州政府、フロリアノーポリス市と土地確保の交渉が行われているほか、佐藤会長も石巻、漂流民のうち2人の出身地域である東松島両市の市長に掛け合い、金銭面を含めた援助を打診していくという。
 中沢会長は本紙の取材に対し「話が持ち上がった直後に佐藤会長が来伯するとはまさに運命的」と興奮した面持ちで話し、佐藤会長も「移民制度が途絶え、進出企業が増えるなど日伯両国の関係は変化している中、人同士の関わり方も同様に変わっていく。今回の事業も、新たな交流や関係性を築く一端となれば」と感慨深げ語った。
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 1793年に江戸に向かう途中で難破した陸奥国石巻の漁船若宮丸が漂流後、ロシアに漂着。そのうち4人が、1803年にロシア軍艦の世界一周航海に乗船。同年12月にフロリアノーポリスに修理のために寄港したことで、ブラジルの土を踏んだ最初の日本人とされている。200周年だった03年、同市内の文化センターに記念碑が設置されたが、上陸地点にそれを示すものはなく、地元市民にもこの史実は知られていない。