映画監督 松林要樹さん=「苦労話ではない作品を」=7月下旬までテーマ探し

 映画監督の松林要樹さん(34、福岡)が、作品製作に向けた調査のため、7月下旬までの約2カ月半の旅程で10日に来伯した。
 初の監督作品となった「花と兵隊」(2009年)で未帰還兵(太平洋戦争で東南アジアなどに渡り、終戦を迎えても帰国しなかった将兵)をテーマにした。取材した坂井勇さん(故人、終戦後タイに残留)が日系二世だったことが、ブラジルに興味を持つきっかけとなった。
 東日本大震災後の福島県南相馬市を舞台とした2作目「相馬看花」(2011年)で取材した田中京子同市議の伯母がブラジル移民だったことでさらに関心が高まり、今回の来伯に至った。
 16日に来社した松林さんは「本格的な取材は、来年の9月頃からじっくりと時間をかけて進めるつもり。今回は、それにつながる人脈や足がかりを作りたい」と目的について語り、「ポルトガル語が全く分からない自分でも何の問題も無く一週間を過ごせていることに驚いている」とリベルダーデの印象を語った。
 目指す作品像は「とにかく見たことのないもの」。従来日本のメディアが多く取り上げてきた「移民の苦労話」に留まらない、独創的なドキュメンタリー作品作りを目指すという。
 そのほか「地元福岡のことや、福島県の浜通り地区周辺の出身で、原発建設前にブラジルに渡った移民の方々の話にも興味がある」と意欲を見せた。