べレン総領事館問題=「地元の声、届けたい」=山田フェルナンド氏が訪日、陳情へ=西森下議、生田会長も同行=麻生副総理に直談判か

ニッケイ新聞 2013年5月21日

 【既報関連】在べレン日本国総領事館を出張駐在官事務所に格下げするという日本政府の方針に地元日系社会が反対運動を繰り広げている問題で、北伯最大のスーパーマーケットチェーン「Y.Yamada」の副社長で、全国スーパーマーケット協会会長も務める山田フェルナンド氏、同地日系社会を統括する汎アマゾニア日伯協会の生田勇治会長が西森ルイス連邦議員とともに今月下旬に訪日、麻生太郎副総理、河村健夫元官房長官らに陳情する予定であることがわかった。

 今年2月に外務省中南米局の清水亨南米課長が来伯して趣旨を説明したところ地元関係者の猛反発を受け、パラー日系商工会議所の会頭でもある経済界の大物、山田氏が音頭を取り、同会議所や同日伯協会などを中心に州知事、べレン市長などの協力も得て格下げ反対運動を展開してきた。
 日本政府に向けた、日系諸団体や地元政府機関、伯日議員連盟などの署名が入った嘆願書は2月末に提出され、同時期には、読売新聞が「自民党の政調審議会で、在ベレン総領事館を出張駐在官事務所に格下げすることなどを盛り込んだ在外公館法改正案の了承が先送りされた」と報じた。
 ただし、同総領事館の説明によればすでに本件は閣議決定されており、3月末には衆議院で可決され、現在は参議院で審議されているところまできている。
 「手紙は送ったが、やはり直接行って話を聞いてもらいたい。何とかそういう場を設けてもらえないか」—。西森氏によれば、嘆願書が日本側に送られたほぼ同じ時期、山田氏がブラジリアの西森氏を直接訪ねてきて、そう申し入れたという。
 「非常に重要なことで、一議員として協力すべきと思った。もう衆議院も通過しているので難しいかもしれないが、できれば格下げしないよう要請する。どうしても無理でも、あまり(在外公館としての)効力が変わらないようお願いするつもり」。西森氏は本紙の電話取材にそう応え、「もしこのまま駐在官事務所になったら、今度はクリチーバ、マナウスも、ということにもなるかもしれない。これからW杯、五輪が控える中で、総領事館の仕事も増える。世界第7位の経済大国ブラジルの重要性を強調し、はっきりとした声を届けておきたい」との心構えを示した。
 西森氏は、6月1〜3日に横浜市で開催される第5回アフリカ開発会議に参加するため、もともとその時期に訪日を予定していた。既に、今月27、28日のいずれかで麻生、河村両氏と会談する手配が整っており、両氏以外にも藤村修氏などブラジルの関係が深い政治家らと会う機会を設けたい考えだという。
 衆議院を通過した現在、この時期の〃ブラキチ〃政治家訪問は、どれほどの効果があるのか—。参議院の通過はほぼ必至とみられる状況下で、会談後の展開が注目される。