滋賀県人会55周年=「初めて聴く音色に感動」=ドレミ琴の演奏会に120人

ニッケイ新聞 2013年5月29日

 今月24日から来伯している滋賀県在住の琴奏者、内藤方干(まさこ)さんらが26日午後、理ベルダーデ区の愛知県人会館でコンサートを開き、約120人が会場を訪れた。滋賀県人会(山田康夫会長)の設立55周年記念事業。
 内藤さんは五線譜(ドレミの音階)で、初心者でも簡単に弾ける琴『奏音』を独自に考案し、古典邦楽にとどまらない多様なジャンルの音楽を演奏している。通常の琴は13弦だが、17弦にしたことでさまざまな楽器と合わせたバリエーション豊かな演奏ができるという。
 演奏会には内藤さん、娘で同じく琴演奏者の内藤明里さん、同県米原市で開かれた移民百周年記念事業の演奏会で知り合った日本在住のブラジル人ミュージシャン、ロブソン・コレイア・ド・アマラルさん、ドラム奏者アレシャンドレ・オザキさん(三世)も出演し、ボサノバやサンバ、日本の歌、内藤さんのオリジナル曲など約10曲を披露した。
 訪れた人はギターとドラムが奏でるリズムに乗った艶やかな琴の音色に耳を澄ませ、思い思いに体を揺らした。島崎藤村作詞の叙情歌「椰子の実」は、演奏にあわせて口ずさむ姿もみられ、大きな拍手の後はアンコールの「マシュ・ケ・ナーダ」で締めくくった。
 来場者らは「琴がこんな風に演奏されるのを初めて聴いた。とても美しい音色で素敵」と口々に話し、舞台に上がって記念撮影をしたり、琴を興味深そうに触ったり、内藤さんが弾く姿を携帯電話で録画するなど、それぞれ交流を楽しんだ。
 内藤さんは「私はポルトガル語がわからないが、音楽を通じて皆さんと交流できる。音楽は国境を越える」と満足そうに語った。
 また、希望者には琴の指導を行うといい、「一度だけで終わるのではなく、つながりを作って今後も継続して交流したい」と話している。
 6月17日まで滞在予定で、希望者の状況に応じてワークショップ開催日を調整するという。詳細、問い合わせは滋賀県人会の山田会長(11・98203・7603)まで。