コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年5月30日

 トメアスー移住地70周年記念誌『アマゾンの自然に調和して』は、2009年に出版されている。つまり、80周年時に刊行されたわけで、10年がかかったわけだ。関係者が「いやあ遅れに遅れて…お恥ずかしい」と苦笑いするのを聞きながら、アマゾンの悠久を感じたものだ。しかし、人の事を言っても笑ってもおられない▼80周年に本紙が取材し、編集を進めていた『アマゾン』が、ようやく刊行の運びとなった。トメアスーには敵わないものの、4年も経ってしまった理由には、編集部の及ばない部分での語るもお恥ずかしい内部事情があるのだが、それはさておき、関係者の皆様にまずはご報告申し上げたい▼連載記事に加え、ベレン、トメアスー、パリンチンス、マナウスなど各地であった記念式典の様子も写真グラフで盛り込み、80周年関連の動きを凝縮した。掲載時はもちろん日本語のみ。読んでもらいたい次世代に伝わっていないという忸怩たる思いがあったため、ポ語翻訳には力を入れ、移民史研究者でありジャーナリストの大井セリアさんに全面的に校正をお願いした。読み物としても楽しめる本になったと自負している。二、三世、ブラジル人に手に取ってもらい、自分たち、そして隣人たちのルーツに思いを馳せてほしい▼出版記念は来月14日午後7時から、文協ビル9階移民史料館で行う。販売価格は70レアルだが当日販売は60レ、先行予約も受け付けている(11・3340・6060/マリア)。コンヴィッチが届かない方も含め多くの人に出席してもらい、子や孫に日本人の歴史を伝える一冊として活用してほしい。(剛)