コンフェデ杯、日伯戦で開幕!=「両国応援」日系人多く=友好ムード漂うスタンド=親日ブラジル人も目立つ

ニッケイ新聞 2013年6月18日

 【ブラジリア=酒井大二郎記者】国際サッカー連盟(FIFA)主催の『FIFAコンフェデレーションズ杯2013』が15日、首都のエスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリアで開幕した。開幕カードとなった日本対ブラジルの試合(3対0でブラジルの勝利)には、6万人以上の観衆が詰め掛け、日本からもサポーターが応援に駆けつけた。会場では、それぞれのチームのファン同士が一緒になって記念撮影する様子や、日本代表のユニフォームを着たブラジル人の姿が目立つなど、友好的な雰囲気が漂い、両国の関係の良好さを改めて示す一戦となった。

 「ブラジルに関わり始めてもう40年近くなるかな。簡単に言葉にすることが出来ないほど大きな存在」と話すのは、静岡県在住の杉本昭太郎さん(78、静岡)。水産業社の代表として、マグロの買い付けのため、毎年のようにサントス港に通った。サッカー観戦暦は「(78年の)アルゼンチン大会から全てのW杯を現地で観戦している」という大ベテラン。
 この日は40年来の友人で「日産自動車(現横浜Fマリノス)への移籍に関わった」という元ブラジル代表のジョゼ・オスカー・ベルナルジとその家族らとともに来場。スタジアム前で仲良く肩を組み、それぞれのチームの健闘を誓い合った。
 揃いのブラジル代表のユニフォーム姿で来場したのは、ブラジリア在住の島袋リカルドさん(48、三世)一家。日本代表の印象を聞くと、「ジッコが(日本代表の)監督をしていた頃はよく情報が入ってきたんだけど…」と苦笑い。それでも「ブラジルの次に応援しているよ。やっぱり日本は好きだからね」とエールを送った。
 満員となったスタジアムの8割以上がカナリア色で埋まる中、日本代表の青いシャツを着たブラジル人の姿もちらほら。他のブラジル代表サポーターからの記念撮影に応じていたのが、日の丸の鉢巻に数世代前の日本代表ユニフォームという、一際目立ついでたちのパウロさん(43)=ブラジリア在住=だ。
 「2006年の(ドイツ)W杯で、日本とブラジルが対戦した時、現地で日本ファンと交換したシャツがこれ。それ以来日本が好きになった」と笑顔で語ったが、試合予想を尋ねると、下に着込んだ〃BRA4—1JAP〃と書かれた黄色いシャツを見せながら「日本には悪いけど、今回もドイツの時と同じ(1対4で日本が敗戦)だね」とユーモアたっぷりに語った。

 東洋街でも150人が応援=「心が二つに割れた」

 リベルダーデの東洋会館でも日系人ら約150人が試合を見守った。
 リベルダーデ商工会(池崎博文会長)、IPK(小林ヴィットル代表)が観戦イベントを主催、TVグローボ、バンデイランテス、NHKなど日伯の主要メディアも取材に訪れた。
 ブラジルが得点するたび大きな歓声を上げつつも、日本チームを応援する参加者も多かった。
 アレサンドロ・アゾーニさん(43)は「日本は健闘した。上手くはなっているんだけど、ツメが甘いね」と感想を述べ、歌手の平田ジョーさん(45)は「どちらを応援していいか心が二つに割れた。だけどブラジルの方がちょっとだけ上かな」と複雑な心境を覗かせた。
 在聖総領事館の中山雄亮副領事(32)は「強い! の一言。ただでさえ強い相手のホームで戦うのは凄いプレッシャーだったと思いますが、力の差が出たということでしょうか」と残念顔を見せていた。