電線大手フジクラが合弁会社=プロケーブル社と新工場建設=南大河州で来年稼動開始=ブラジルの需要拡大に応える

ニッケイ新聞 2013年7月24日

 電線の大手、株式会社「フジクラ」(東京都江東区、長浜洋一社長)が18日、サンパウロ州ジアデマ市にある送電・通信工事会社「プロケーブル・エネルジア・エ・テレコムニカソインス社」(西村フミタカ社長)と、光複合架空地線(OPGW)等の製造販売を行う合弁会社を設立すると発表した。約15億円(3千万レアル)を投資し、8月初旬に南大河州モンテネグロ市に新製造拠点「Procable Fujikura Cabos Para Energia e Telecomunicacoes Ltda」の着工を開始する。製造開始は来年7月、2015年のフル稼働時には6千万レの売上げを見込む。当地のOPGW敷設工事の大手プロケーブル社と手を組み、ブラジルの急速な需要拡大に臨む考えだ。

 フジクラが当地で製造を開始する「OPGW」とは、架空地線(高圧送電線を雷から守るための装置)に、光ファイバーを巻き込んで情報通信用の機能を付加したもので、日本では全国展開されている。
 1885年に創業したフジクラは、いわゆる〃電線御三家〃(住友電工・古河電工・フジクラ)の一角を占める業界大手企業で、携帯電話やデジカメなどに使うフレキシブルプリント基板では世界2位、光ファイバーでは世界3位といわれる。タイに主力工場を置き、日本国内および世界に129のグループ会社を展開している。
 昨年は、南米初の生産拠点を人件費の安いパラグアイに設け、当地市場向けに自動車用組み電線の生産も始めた。当地には、OPGWの敷設工事で高い国内シェアを占め、20年以上提携しているプロケーブル社を通し、2008年から1万2千キロ米のOPGWを納入している。
 17日、サンパウロ市ブルーツリーホテルで開かれた記者会見で、長浜社長(63、東京)は「南米市場はますます発展していく。プロケーブルという信頼できるパートナーがあるので、ブラジル国内での製造を決めた」と語った。
 また、「わが社の製造力、インフラ構築力とプロケーブル社の販売・施工工事力をあわせ、強い事業体を作り上げたい」と意気込み、将来的には製品種を増やすほか、2社の統合も考えていると明かした。
 西村社長(62、福岡)も「電力と通信のタイアップは需要大。市場の成長率は10%程度だが、確実性の高い事業だ」と期待を込めた。
 工場はプロケーブル社が所有していた土地に建設される。敷地面積14万4千平方米、延床面積1万1千平方米、従業員数は70人を予定。橋本章英さんが社長に就任する。