■ひとマチ点描■「鰻食べに来たのに…」

ニッケイ新聞 2013年8月1日

写真=吉田静香さん、水野テレーザさん、水野進さん

 「どこで鰻の蒲焼食べられるか教えてくれ!」。日本祭り会場で20日朝、息せき切って記者に尋ねてきたのは、サンパウロ州モコッカ在住の水野進さん(77、福島)だ。
 「昨晩NHKで鰻の蒲焼の話題を放送しているのを見て、食べたくなっちゃってね。居ても立ってもいられなくなった。日本祭りに来れば食べられると思って、今朝5時にバスに乗ってみんなと来たんだ」。モコッカはサンパウロ市から270キロ離れており、一行11人は朝5時にバスで出発したという。
 ところが、毎年それを提供するはずの静岡県人会には「今年は品薄で入荷できませんでした」との残酷な張り紙が…。
 70年代に徳倉建設(本社=名古屋)がサンパウロ州ウバツーバ市で鰻養殖を一時期していたが、インフレで採算が取れず事業停止していた。日本でも高値とのこと、誰か再挑戦してみては? (深)