湖西市女児自動車事故=「刑が甘い」検察官が控訴=次の判決は州高等裁で

ニッケイ新聞 2013年8月16日

 【既報関連】2005年10月に起きた静岡県湖西市の自動車事故で、事故後に帰伯逃亡した藤本パトリシア被告に下された有罪判決は14日に官報に掲載され、本件のエリアーニ・パサレリ検察官は同日、本紙の電話取材に対し、2年2カ月の禁錮刑を不服とし、4年の禁錮刑を求める控訴手続きを取ったことを明らかにした。
 「被告に甘い判決」—。こう断定した同検察官は、昨年7月末に開かれた公判に同被告が出廷しなかったことも重くみており、「彼女の権利ではある。でもブラジルの司法から逃げようとしたことの責任は大きい。裁判の手続きを遅らせ、複雑にした」との考えを示した。
 一方、被告人の無罪を主張するエドアルド・コスタ弁護士も同日、「控訴する意向」と本紙の取材に答えたが、「正式な控訴手続きを取ってからコメントする」とするにとどめた。
 国外犯処罰問題はじめ、日伯間の法律に詳しい二宮正人弁護士によれば、救助義務を怠った場合の交通事故の量刑としては、禁錮4年は最高刑となる。ただ、初犯で悪意がなかったとみなされた場合、4年以下の禁錮刑であれば社会奉仕活動などに代替され、服役することはないという。
 最初の被告人尋問に被告が出廷せず、数カ月後に被告が住むサンタカタリーナ州ジョインビレで尋問が行われたことに関しては、「明らかに裁判の引き伸ばし工作」とのべ、検察官の見解に同調する考えを示した。
 今後は、両者の異議申し立てを受けたサンパウロ州高等裁判所の判事5人が審議を行い、判決が下されることになる。時期について、二宮弁護士は「かなり先になる。少なくとも半年以上はかかるのでは」と話している。
 検察官の控訴の知らせを受けた山岡夫妻は本紙のメール取材に、「非常に驚き、うれしく思う。理子の命の重さを重く受け止めて頂いたということ。いまだに無実を主張し、反省の色もない被告に、できるなら最も重い刑を求刑してほしいというのが本音だった」とのコメントを寄せた。