古里おもう気持ち大切に=岩手県人会創立55周年=記念式典に約400人参加=慶祝・芸能団28人来伯

ニッケイ新聞 2013年8月21日

 ブラジル岩手県人会は18日、サンパウロ市リベルダーデ区にある電気工組合ホールで『創立55周年記念式典』を盛大に開催、約400人が出席し節目の年を祝った。日系議員らはじめ、達増拓也知事ら慶祝団・郷土芸能使節団28人、パラグアイのイグアス県人会からは伊藤勉副会長ら2人が祝福に駆けつけた。千田曠曉会長は多数の出席に喜び表すと共に「先駆者の『ふるさとを思う心』を大切に、会員同士の親睦を原点とし、諸活動や母県との交流を深めていきたい」と県人会の発展を願った。

 岩手県人の移住は1918年、一関市出身の小野寺巳代治さんの移住に始まる。これまでに計2437人が渡伯した。1959年に県人会が発足、「親睦と和」「母県との交流」をモットーに、岩手の食文化を伝えると共に、世界の岩手県人会との交流も行っている。
 式典では開会の辞と日伯両国家斉唱につづき、先没者ならびに東日本大震災犠牲者に黙祷が捧げられた。
 達増知事は「両国の交流があるのは、皆さんがブラジル社会の建設・発展に血のにじむような努力を重ねてこられたからこそ」と敬意を表し、被災者への支援に感謝をのべた。
 岩手県議会議長の佐々木博氏、金ヶ崎町の千葉政幸副町長、伊藤雅章・同町議会議長らも挨拶に立ち、両国の友好を喜び、関係の緊密化に意欲をみせた。
 県費留学生・研修生OB代表の東ヴァネッサさんは「私の家族の原点で勉強できたことは、今後の人生に大きな財産になる」と話し、関係者に感謝をのべた。
 また、長期にわたって役員、婦人部、地方連絡員をつとめた20人に、同知事から功労者表彰が贈られたほか、記念品交換などが行われた。
 ミリアン・オータチ合唱団による「復興ソング」合唱で閉会後、午後は郷土芸能使節団12人による公演や会食、サンバショーで賑わった。使節団のメンバーでNHKなどで活躍中の歌手・福田こうへいさんも参加、会場を大いに盛り上げた。
 功労賞を受賞した婦人部の久保和子さん(84)=ソロカバ在住=は、「とっても良かった。古い人たちは少なくなってしまったけど、県人会が長く続いてほしい」と願いをこめた。
 浅見マリア(75、二世)、野村みつ子(72、二世)姉妹は「親にならって会に入って本当によかった。ここで日本のことを沢山教わった」と話した。