「嘘がばれて逆上、暴力」=本紙登場の帰伯子弟が詐欺?=日本人女性に平手打ち=警察に被害届け、訴訟も

 「ネットビジネス(インターネットを活用した仕事)で稼ぎませんか?」「児童館を作るので職員募集中」。サンパウロ市在住の吉永クラウディオさん(22、三世)によるそんな誘い文句に応じ、典紡瑞輝さん(64、愛知)=埼玉在住=がわざわざ面接のために来伯したが、嘘がばれて逆上した吉永さんから暴力を受けたとし、27日に来社して憤りをぶつけた。「金さえ払えばどうでもいいという態度は、ビジネスの契約違反。これでは詐欺と同じ」。当地警察署に被害届を出した後、帰国したが、「返金に応じない場合は訴訟を起こす」との構えを見せている。

 二人は5月末にフェイスブック上の友人を通して知り合った。典紡さんは介護の仕事に従事していたが、体調を崩して休職中だった。「ネットビジネスを技術の一つとして身につけたい」との想いがあり、吉永さんが主宰する「ビジネスの本質を伝える」無料セミナーを、ネットを通して日本から受講していた。
 吉永さんのフェイスブック上に掲載された「駐在員の子どもを預かる児童館の職員募集」との求人に来伯を決意し、面接とセミナー受講を目的に当地を訪れた。着伯当日の26日、典紡さんは3日間のセミナー受講料10万円を支払った。サンパウロ市の案内を受けながら「年収百億のビジネスのノウハウを教える」「自分はダイソーのビルの所有者」と吉永さんが豪語するのを不審に思ったという。直接セントロ区のダイソー店員に所有者を確認すると、別人が所有していることが判明し、その晩に吉永さんに指摘すると逆上したという。
 「お前なんか使い道ない!」「ふざけんじゃねえ!」などと罵声を浴びせられた挙句、典紡さんは「滞在先のニッケイパレスホテルの入口で平手打ちを受け、失神した」と怒りを押し込めた様子で説明した。
 後日返金を求めた所、吉永さんは、当初は「今はサントスに出張中」などとはぐらかし、「永久追放します」との書き込みと共にフェイスブック上のグループから典紡さんを削除した。
 一方、吉永さんは本紙の取材に対し、「手を出したのは事実だが、それはホテル前で泥酔し、『もう死んでもいい』『児童館なんてもう知らない』と騒ぎ立てる彼女をなだめる様な感覚だった。それにそもそも転倒しただけで失神なんてしていない」と28日夜に回答した。さらに「自分はダイソー含めビルを所有しているなんて一言も言っていない。どうして彼女が勘違いをしたのかわからない。当日の夜、彼女は酩酊状態で薬物中毒者のように訳の分からない暴言ばかり吐いていたが、そういった主張を指摘されて逆上した覚えもない」と困惑気味に話した。しかし、夕食を共にした関係者は「典紡さんは泥酔などしていなかった。暴言も吐いていないし、冷静だった」と証言している。
 なお、受け取った10万円に関して「準備していたセミナーも最後まで出来ず、日曜に予定していた、児童館の利用を希望する駐在員家族との面談もキャンセルになったから、請求される前から当然返金するつもりだった」とし、「その前に直接改めて話をしたいと思って連絡しているのに、彼女がそれに応じてくれない」と主張している。
 本紙1月11日付け『第2の子供移民〜その夢と現実=日伯教育矛盾の狭間で』の第2回に登場した時の吉永さんは「僕はIT系で必ず成功します。絶対ビッグになりますから見ててください」と連呼していたが、実は「パソコンは持っていない」とか「プログラミングの知識もない」というチグハグな状態も披露していた。帰伯子弟の評判を落とさないためにも円満な解決を望みたいところだ。