大耳小耳

ニッケイ新聞 2013年9月10日

 全伯短歌大会に親戚2人とともにマリンガから参加した川上淳子さん。同地には歌会もなく「私たち以外に歌を詠む人を聞いたことがない」と残念顔。それだけにこの全伯短歌大会は、大勢で作品を講評し合える貴重な機会になっているのだとか。2回目の参加にして席題部門2位に入賞したことを受け、「遠くから来た甲斐がありました」と一転、明るい表情。
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 司会を務めた多田邦治さんは閉会の辞として「我々が作る一首一首は、地層となって積み重なっていく。人が減れば減るほど、残された人が作る歌の価値は高まる。最後の1人になるまで、皆さん頑張っていきましょう」と力強く話していた。文化人類学の調査・研究として参加した大阪大学の松岡秀明教授も「1938年から今まで続いているのは奇跡に近い」と話すほど、希少で貴重な存在と言えるコロニア短歌。本紙も主催団体として大会継続に力を尽くしたい。
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 「ブラジル女性の会」発足式で、天皇閣下ご即位20周年記念時の映像が上映され、ある一シーンに衝撃を受けた。天皇皇后両陛下が記者会見に1時間遅れて登場した際、二人は「手間取ってしまい、遅れたことをお詫びします」と謝罪し、ふかぶかと頭を下げたのだ。自分に非があっても謝らないのがブラジルの日常。時間に遅れただけで一国の象徴が謝る日本の美徳が一層映えて見えた。