アルモニア文協創立60周年=元寮生が集い、記念式典=学園、日伯交流の発展願う

ニッケイ新聞 2013年9月26日

 今年で創立60周年を迎えたアルモニア教育文化協会(和田忠義会長)が、9月21日にサンベルナルド・ド・カンポ市のアルモニア学園体育館で記念式典を開催した。元寮生や職員、ジョゼ・アレシャンドレ同市スポーツ局長、南洋行同市会議員ら来賓も含め約400人が出席した。同協会は1953年、日系子弟の遊学を支援するため学生寮を建設、約3千人の寮生を世に送り出した。93年からは日語教育を必須科目とした全日制の同学園に移行し、未来を担う人材育成に努めている。出席者らは先人の労苦をねぎらうと共に、学園と日伯交流の更なる発展に向けて思いを新たにした。

 戦後、在伯力行会員らが学生寮建設を呼びかけ、寄付金を集めて土地を購入、寮運営のため設立されたサンパウロ学生会(当時の名称)に寄贈した。53年に第1棟完工後も2棟を増設し、最大約200人の寮生を収容した。
 地方にも大学が作られる時代となり、寮としての役目を終えると、改装して学園に移行。日英西3外国語を必須科目とし、芸術、スポーツ、部活動など幅広い教育活動を展開している。現在、幼稚部から高等部まで約370人の生徒が在籍する。大学進学率も高く、高い評価を得ている。
 式典では、同学園の歴史を収めた映像を鑑賞後、日伯両国家を斉唱。学園のコーラス部が一緒に「君が代」を歌うと、会場は大きな拍手を送った。
 初代の寮生だった和田会長は「日本移民は二世の将来を保証するためには教育しかないと考えた」と寮設立の経緯や先駆者の労苦をふり返った。
 日本文化継承と高レベルの教育を兼ね備えた「新アルモニア学園」を目座す大浦文雄評議員は、「学園に足りないのは教師の訪日研修など人的交流。そのための基金創設が必要だ」と訴えた。
 福嶌教輝在聖総領事は「将来に渡り、ますますの友好関係を築くことが願い」との麻生太郎副総理(日ブラジル会議員連盟会長)の挨拶を代読。
 創立会員の息子で前会長の破魔浩一郎さん、大田慶子連邦議員、寮で学生らに講演を行っていた植木茂彬・元鉱山動力大臣らも出席し、挨拶を述べた。
 続いて、第一期寮生でサンパウロ州高等裁判所判事となった渡部和夫氏から、力行会の岡崎祐三会長に感謝状が贈られた。また同学園の吉岡初代校長、松田ヒロコ二代目校長、渡辺次雄元寮長の妻・渡辺トシコさん、25年間料理人として働いたアントニア・カルヴァーリョさんにも、表彰状と記念品が贈られた。
 式典は、生徒によるコーラスと和太鼓演奏で締めくくられ、その後祝賀会が開かれた。
 30年ほど前に5年間寮長を務めた小笠原勇二さん(82、青森)は「タイヤの空気を抜いたり鍵穴に爪楊枝を入れたり、よくイタズラした子もいたが、今は立派な社会人になった」と時の流れをかみ締めるように語った。