コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年11月13日

 次々に百周年——。今年はレジストロ地方百周年が盛大に祝われ、サンパウロ州議会では平和灯ろう流し発起人8人への顕彰もあった。日系団体がポ語字幕の原爆映画を上映し、『原爆許すまじ』などの歌を教え、公立学校生徒に平和教育をするという日系活動だ▼日系団体の大半の行事はカラオケなど日系人同士の親睦を目的とする。ブラジル人を相手にしていても収穫祭やバザーは収益が主目的だ▼そんな中で「平和灯ろう流し」は、教育を通してブラジル社会向上に貢献することを目指した独特の日系活動だ。日本の伝統行事に絡めて、ブラジル人若者に平和教育を施すというアイデアは俊逸だ。永住を志向した最初の植民地「桂」が作られただけあって、地に足が着いた発想といえる▼これが移民百周年の翌09年に始まったことは、まさに「次の百年間」における日系人の役割を意識させる。そして来年は沖縄県系にとって特別な年になる。「ジュキア線」と「カンポ・グランデ」両集住地域で入植百周年が祝われるからだ。笠戸丸移民781人中、沖縄系は325人と4割以上を占める。彼らの多くがノロエステ線やジュキア線の線路工夫という命がけの仕事に体を張り、両地域に定着を始めた年だ▼これから「地方百周年」が続く。式典の有無は知らないが、2015年は東京植民地、平野植民地が百周年を迎える。パラナ州でもアントニーナに最初の移民が入った年だ。16年はリンス、17年はアルヴァレス・マッシャード、18年はプロミッソンと続く。地方百周年をきっかけとして、各地で世代交代や独自の取り組み、活性化のための団体再編が始まることを心から期待したい。(深)