新宅、松原、岡島、堀田4氏に=山本喜誉司賞の授賞式=功労者を150人超が祝福

ニッケイ新聞 2013年11月20日

写真=受賞者4氏と夫婦、来賓が揃って記念撮影

 農業分野の貢献者に与えられる、山本喜誉司賞(山添源二選考委員長)の『第43回授賞式典』が8日、リベルダーデ区の文協ビル貴賓室で執り行われ、新宅義美(76、二世)、松原宗文(75、二世)、岡島博(72、群馬)、堀田ワルテル幸夫(50、二世)の4氏が栄誉に輝いた。ブラジル日本文化福祉協会の山下譲二副会長、飯星ワルテル連邦下議、在聖総領事館の福嶌教輝総領事ら来賓と、150人を越える関係者が見守る中、表彰状と記念品が手渡された。
 1964年から養鶏業を行い、その発展に尽力した新宅氏は、日本から有識者を招いて研鑚を続けた過去を振り返り、「日本の仕事量に比べると、60%ほどの手間しかかけていないと判断された。さらにコスト削減を提言され、1箱の採卵に対し、それまでは飼料50キロのところ、品質維持が可能な範囲の47キロまで減らすことに成功した」と明かした。
 現在は養豚、ゴム植林業も行っているが、「時代に合わせた経営を考えながら、養鶏業を中心に現状維持で続けたい」と語った。
 松原氏はマット・グロッソ州における農業技術開発に貢献し、「大豆は気温が高いと成長が早い。すぐに花が咲き小ぶりの実しかできない」と熱帯地での難しさを説明した。
 また収穫後の農地に含まれる有機物量の維持、土壌保全技術も確立。「これからも農業技術の普及、インフラの整備、地域開発のため働きかけたい」と話した。
 岡島氏はパラー州で植林技術開発に尽力した。90年代初頭には、絶滅危惧種だったブラジル・マホガニーを含め、200ヘクタールの植林地を造成し、胡椒、カカオとの混植に成功した。また、北伯群馬県人会による『アマゾン群馬の森(日伯アマゾン友好の森)』設立維持にも貢献した。
 「絶滅危惧種マホガニーの植林技術が確立された後は、伐採可能な状況を作らないと。植える、育てる、収穫するというサイクルを確立させなければいけない」と熱を込めた。
 堀田氏は現在、バイーア州で10万ヘクタールを越える土地で大豆、棉、トウモロコシ生産を行っている。大規模農業を確立させ、雇用安定などの功績が認められた。
 84年に同地へ移った頃、インフラは何も整備されていなかったという。「電気、水道、ガス何もないゼロからのスタートで、30キロ離れた場所まで水を汲みに行っていた。2年後に地下水を掘ってからは安定した」と苦労を語った。