コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年11月26日

 メンサロン事件被告の刑が一部執行され、ジョゼ・ジルセウ元官房長官や労働者党(PT)元党首のジョゼ・ジェノイノ休職下議らが、自分達は「政治犯(プレーゾ・ポリチコ)だ」と発言した▼一方、リオ州フルミネンセ連邦大学の現代史の教授でPTフルミネンセ地区元代表のダニエル・アアロン・レイス氏は、「政治犯」という言葉はある政権や独裁者に対して政治的抵抗を行った人物に対して使われるべきで、PT政権の中枢で権力を振るっていた政治家らは「投獄された政治家(ポリチコ・プレーゾ)に過ぎない」と発言した▼同教授はメンサロン事件が起きる前にPTを離党した事もあり、心臓疾患を抱えるジェノイノ氏が移送中や刑務所で体調を崩したのを見て「最高裁長官はジェノイノ氏の命を危険にさらした」との批判の声などを上げるPT内からは、反逆分子の戯言という反発も招きそうだ▼だが、あるPT連邦議員が刑執行に関し「裁判所はなすべき事をしただけ」と言ったと聞き、救われた気がしたのも事実。健康上の理由で配慮が必要である事と、身びいきとも言える発言や行動とは切り離されるべきで、不正が行われたのなら裁かれ、罪を償う事も当然だからだ▼政治の世界の裏幕的なやり方が明るみに出た時に、民衆の不満や反発を招くか否かは社会の健全さのバロメーターの一つだ。25日付伯字紙には、サービス税を巡る汚職に関与したサンパウロ市元職員が「売春婦等で金を使い果たしたから返却は困難」と言ったとあり、呆れ果てた。政治家も罰せられるようになった事は大きな進歩だが、自分達の不正が市民全員に与える損失にも気づかぬ公務員の姿は、とても哀れだ。(み)