保健プランの適用範囲拡大=37の経口抗がん剤も対象=自宅で化学療法が可能に

ニッケイ新聞 2014年1月3日

国内の全ての医療保健プラン(プラノ・デ・サウーデ)に2日から、87種の治療(経口抗癌剤37種、他の疾患の手術・検査・診療等50種)が新たに含まれた。2日付G1サイトなどが報じた。

保健監督庁(ANS)は保健プランに含まれる医療行為の項目の見直しを2年ごとに行っているが、経口抗癌剤が対象となったのは初めて。56種の癌に対応する治療薬が対象で、乳癌や肺癌治療薬のVinorelbina(日本語はビノレルビン)、消化器癌、乳癌治療に使われるCapecitabina(同カペシタビン)、前立腺癌治療薬のAbiraterona(同アビラテロン)、肺癌治療薬のGefitinibe(同ゲフィチニブ)などが含まれる。

加入者への経口抗癌剤の処方は加入者、医療従事者が長年要望していたものだ。一種の化学療法で現代的、かつ副作用が少ないとされる。また、病院やクリニックに行かず自宅で服用できるために、病院の受診費が減る上、院内感染等のリスクを防げるという。

がん患者たちは昨年末まで、これら経口薬処方の権利を訴えて訴訟を起こす必要があったが、10月にはこれらの経口薬を保健プランの対象とすることを定める法律も承認された。

経口薬以外には、各種の遺伝子検査、腹腔鏡手術、慢性的な背中の痛みに対する高周波治療、神経内分泌腫瘍に対するシンチグラフィ、頭頸部癌に対する新技術の放射線治療、人工尿道括約筋(前立腺を切除した人の尿失禁に対する手術)などが、新たに保健プランに含まれることになった。

政府によれば、1999年からの保健プラン加入者4250万人、歯科のプランへの加入者1870万人が恩恵を受けることになる。

この発表を受け、保健プランの会社31社が加盟する国家補充医療連盟(FenaSaude)は、「広範囲の領域に及ぶ経口抗癌剤などが実際に適用された場合の財政面でのインパクトは大きく、その影響は事前に予測できない」とした上で、「保険会社の支出は加入者が毎月支払う保険料から出る。治療の適用範囲が広がることで助長される医療費の上昇が、保険会社の負担額と全体的な物価上昇との乖離を広げることになる」とコメントしている。

ANSのアンドレ・ロンゴ会長は、「医療行為の適用範囲の拡大が、加入者の負担額に影響することはない」としている。ANSは個人、あるいは家族での加入者の負担額調整を担っているが、団体加入者の負担額には関与できないことになっている。