コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年1月7日

 1日と3日、ゴイアス州カウダス・ノヴァスとミナス州ベロ・オリゾンテで、7歳の子供が良く似た事故に巻き込まれ、二人とも4日早朝に死亡した▼1日の事故の犠牲者はカウアン君、3日の事故の犠牲者はマリアナちゃん。二人とも年末年始の旅行中、プールの水を浄化するための循環用の取水口に体の一部が吸い込まれて溺れた▼カウアン君の場合
、取水口の蓋が外れていると注意した人がいたのに施設の係員が放置したための事故で、片腕が肘まで吸い込まれたまま約10分間が過ぎた。マリアナちゃんはトゥーボガンと呼ばれる水の流れる管の中を滑り降りた際、プールの深みまで沈み込んだために髪の毛が吸い込まれ、約20分後に救出された▼いずれの場合もポンプを止めればすぐ救出出来たのに、腕を引っ張ったりガラスのかけらで髪の毛を切ろうとしたりしていて時間が経過してしまった。ブラジルは、水の事故で世界最多の年間7千人以上の命を失うという不名誉な記録を持っている。前記2例を見ると防げるはずの事故がいかに多いかと考えてしまう▼前記の死亡も施設管理や係官の訓練さえ出来ていれば死亡事故にならずに済んだ筈。マリアナちゃんのおじが「1日の事故から2日後に同じような事故発生を許したのは施設側の責任」と抗議するのも当然だ。取水口の蓋さえ閉まっていればとか、係員がすぐにポンプを止めていたらとやるせない思いでいる関係者も多いだろう▼リオの空港では4日、亜国からの3歳女児がエスカレーターと保護用の柵の間から落ちて頭蓋骨骨折という事故も起きた。楽しい旅行を新年早々、予期せぬ形で中断された家族達の心中はいかばかりか。(み)