コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年2月6日

 最近、無農薬野菜の宅配を利用している。ネットで注文し、新鮮で品質管理されたものが産地直送に近い形で届くのは嬉しい。もちろん全てではなく農薬が残りやすい葉野菜などが中心。健康は食が基本なのだし、口に入るものは経路がはっきりしているのも気分的に嬉しい。極論、自分で作って食べるのが一番なのだろうが▼日本では生産者の顔をつけたラベルで野菜などが販売されている。産直市もかなりの人気だ。全国最大規模だという愛媛県今治市の産直市の充実さには目を見張った。食材だけでなく、無農薬野菜を使ったレストランやケーキ屋なども隣接しており、農産物を都市部に送り出していた地方都市の活性化にも役立っているようだ▼食に関心を持つ人が増えるのも当然だ。原産地を偽った擬装食品の氾濫や、老舗デパートや料亭などの意識の低さもマスコミなどで明らかになってきている。目をブラジルに転じればどうだろう。日本のコンビニ弁当の表示にある様な化学的物質の恐ろしさはないが、農薬の規制やその徹底ぶりが分からないだけに恐ろしいものがある▼かつてブラジルに住んでいた知人が「地域農業を守り、消費者にその声を届ける」ことをモットーに発行している『産直新聞』(長野県)で働いている。小さな業界紙だが、食の作り手の状況を知りたいというニーズはこれから増していくだろう。本紙からは、ブラジルの食の通信を送ることになった。先方からも情報を送ってくれるようだ。コロニアのみなさんは、日本の地域農業のどのような取り組みに関心があるだろうか。ご意見あれば、本紙編集部に寄せてほしい。(剛)