パナソニック=長期的視野で「覚悟の船出」=洗濯機生産ラインを始業=MG州のエストレマ工場=高性能とエコロジー売りに

ニッケイ新聞 2014年2月25日

新たに展開する洗濯機事業。好調の冷蔵庫に続き期待がかかる(提供写真)

新たに展開する洗濯機事業。好調の冷蔵庫に続き期待がかかる(提供写真)

日本電機メーカー「パナソニック」の現地法人パナソニック・ド・ブラジル(村上廣高社長)が21日、ミナス・ジェライス州南端のエストレマ工場で、新事業旗揚げとなる「洗濯機出荷式」を行った。同工場は2012年9月から冷蔵庫生産ラインを稼働していたが、この度、洗濯機も生産を開始することになり、従業員の激励を兼ねてこの記念式典が行われた。村上社長は笑顔を見せながらも「覚悟の船出」と決意を語り、洗濯機事業の参入に意気込みを見せた。

村上社長、宇治英次ラテン・アメリカ総代表ほか、日本からパナソニック・アプライアンス社の西原直也副社長、渕上英巳事業部長、エストレマ市のルイス・カルロス・ベルガミン市長、同州のアントニオ・ソアレス開発局長ら含め、140人の出席者が新たな門出を祝った。

村上社長、ベルガミン市長、宇治中南米代表

村上社長、ベルガミン市長、宇治中南米代表

生産されるのは16キロ型の標準機(1699レ)と、高性能機(1899レ)の2モデル。市場分析担当の船本崇さん(35、熊本)は「洗浄能力はともに高レベルだが、衣類が傷まないように静音かつ段階的速度に変化のある回転をするのが上位モデルの特徴」と説明した。

従業員36人が約70メートルのラインで、1日100台を生産する。台車によるセル生産方式で部品加工、取り付け、組み立て、梱包まで世界共通の行程となる。

冷蔵庫部門の現場代表者である川畑裕樹さん(44、奈良)が補足説明し、「最大で日産250台まで伸ばせる余力がある。スピード、技術を磨くと同時に、発注数を伸ばしていきたい」と抱負を語った。

その後の会見には村上社長らが出席。ブラジルでの市場展開には、遅延する手続きやデモなど不確定なリスクも高まるが、「事業拡大は短期的なでなく、長期的な視野をもってのこと。市場の大きさはやはり魅力で、覚悟をもって一致団結したい」と強調した。

洗濯機生産ラインは当初、13年5月の始業を予定していたが(12年9月14日付既報)「各種機材の搬入に手間取ったが、冷蔵庫事業が好調でそちらを優先させたことも理由の一つ」と前向きな要因を明かし、「労働力確保に市政の協力があった。地域に貢献したい」と行政との良好な協力関係も示した。

同席したセルゲイ・エポフ白物製品部長は、「毛布などの大物を洗える大容量で高い洗浄能力を持ち、かつ節電・節水のエコロジーという点で差別化を図った」と強みを説明し、「白物家電では後発だが、最大の長所である省エネ技術によるオンリーワンを押し出したい。中南米に向けた輸出拠点になれば」と抱負を語った。