紀州人の誇り、日伯で確認=和歌山県人会が盛大に式典=約5百人が〃還暦〃祝う=仁坂知事ら75人が出席

1954年4月に創立された在伯和歌山県人会連合会(木原好規会長)の創立60周年式典が27日、サンパウロ市の北海道協会で開催された。約500人が会の軌跡を振り返り、現在の繁栄を祝った。母県から仁坂吉伸知事、山田正彦県議会議長ら県議11人などから成る公式訪問団、19人のビジネスミッション、民間訪問団あわせ75人が出席した。木原会長は「これは出発点。県人活動の活性化、母県と県人会、日伯親善と交流が一層発展するよう努めたい」と誓った。

和歌山県人の最初の移住は1916年にさかのぼり、戦前・戦後を通じて約1400家族、6千人が移住したといわれる。県人で戦前に移住していた松原安太郎氏によるいわゆる「松原移民」が1953年に到着し、戦後移住のさきがけとなった。
県人会は和歌山出身者ら有志が設立した植民会社が発展したもので、県人同士の交流、県人移住の振興を主な目的として活動が行われてきた。
現在の会員数は約200家族。2000年には会館の改築が行われ、文化活動の場となっている。県連主催の日本祭りでは、ボランティアとして参加する会員数が100人を超える。
来伯2回目の仁坂知事は、式典に先立ち県人が多く住むドウラードスを訪問したことに触れ、「日本人の持つ美徳をブラジルの社会において十分発揮され、努力されて今日を築いた。素晴らしい我々の先祖・同胞の努力を心から誇りにし、称えたい」と挨拶した。
山田議長は「皆様のふるさと、和歌山の発展のため、さらに全力で取り組んでいく」と会場を沸かせ、県国際交流協会の樫畑直尚理事長は、同会が県人子弟を中心に生活体験型プログラムを実施する本体として活動していると説明。「官民協調で交流を深め、要として精進したい」と話した。
80歳以上の高齢者表彰では、最高齢でともに104歳の大宅武男さん(伊都郡、モジ在住)、東喜三さん(串本町、アチバイア在住)が、自ら知事から感謝状と記念品を受け取った。
その後の記念祝賀会、アトラクションでは大正琴の演奏、どじょうすくい、サンバショーなどが披露され、会場のあちこちで歓談を楽しむ声が聞こえた。
喜志文代さん(89、有田市)は53年に松原移民として移住し、17年を同地で過ごした。「道なき所に道を造り、カフェを3千本植えた。食べるものも慣れていないし、大変でしたよ」と振り返った。
「僕らは同じクルパイ移民だったんですよ」。1958年の和歌山植民地(クルパイ植民地、南麻州)への第一陣移民だった平谷勲さん(70、田辺市)、下垣内昭さん(66、みなべ町)は、再会を喜んだ。「これだけの人が来てくれ嬉しい。僕らのことを忘れてくれていない」「県人を思ってくれるその温かい心を、誇りに思う」と、それぞれ知事ら一行の訪問を喜んだ。