オーリャ!

 スザノでの取材を終え、リベルターデへ帰る電車の中、チラリと見えた少年の携帯電話の画面には、日本の有名バスケット漫画『SLAM DUNK』の名シーンが。
 非日系と思しき少年は集中した様子で、次々と新しいページをダウンロードし、伯語化された漫画を読み進めていく。日本文化の浸透を喜びたい。海賊版であるという点を除けば、だが。
 以前から漫画の違法アップロードは問題になっていたが、調べてみると日本で発売された二日後には伯語化され、ネット上に広まってしまうようだ。善悪は別としてその熱意と技量には感心してしまう。
 ブラジル人青年のそれだけの熱意が、もっと日本企業や日系社会のために使われたら、どれだけ活発化するかと夢想した。漫画好き青年の才能を活かそうと思う奇特な企業は居ないだろうか。(石)