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川目弁護士の法律アドバイス=日本ではここに気をつけて!

弁護士法人川目法律事務所代表 川目武彦(かわめ・たけひこ)

 1978年生まれ、埼玉県川越市出身。埼玉県立川越高校卒、上智大学法学部法律学科卒。2004年に司法試験に合格し、09年に弁護士法人川目法律事務所(浦和)を設立。その後、東京都、千葉県にも事務所を設立。13年に開設した群馬の事務所にはポ語通訳を置き、在日ブラジル人にも対応。珍しい取り組みと反響を呼んでいる。

養子縁組はブラジルに倣って

 親がいなかったり、親が養育を放棄してしまったなどの行き場のない日本の子どもの多くが、社会的養護施設に収容されている現状を問題視する報告書『夢がもてない―日本における社会的養護下の子どもたち―』を、国際NGОである「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が最近発表しました(興味のある方はヒューマン・ライツ・ウォッチのホームページwww.hrw.orgをご覧ください)。
 この報告では、他の先進国に比べて日本政府が施設養育に依存する割合が非常に高いこと、すなわち里親による家庭養育が行われていないことが、子どもの養育にとって問題であることが指摘されています。
 実際、私も日本で弁護士をしている中で、子どもの養育のために里親や養親になったという方とは、ほとんどお会いしたことがありませんでした(一名だけ捨て子であったという子どもを育てていた方がいました)。そのくらい少ないのです。
 これに対し、ブラジルは、養子縁組希望者の全国統一台帳に国外在住のブラジル人や外国人も登録をすることを認めています(平成25年3月26日ニッケイ新聞)。養子縁組による子の養育について、日本は完全に周回遅れの状態にあるようです。
 もっとも「じゃあ、日本では養子縁組は利用されていないのですか?」というと、それがそうでもないのです。弁護士の業務の中で戸籍を見ていますと、離婚や相続の相談を受けている中で、しょっちゅう養子縁組をみかけますので、利用はあるのです。ただし、その目的は、子どもの養育ではないのです。その多くが、養子縁組による財産の承継、税金対策というのが実情です。
 日本では、養子縁組をすれば、縁組をした者同士は、法律上の親子として、お互いに法定の相続権が発生しますから、相続が発生した場合でも財産の承継が可能となります。また、相続税の計算で有利になる場合があることから、養子縁組をしておく、というケースが多いのです。
 しかし、養子縁組制度とは、まさに法律で親と子との関係を創設する制度ですから、このような相続や税金対策の利用は、本来の目的から離れているといわざるを得ません。
 「養子縁組」という制度は、親子関係を法律で作り出すにすぎないものです。しかし、それが法による擬制であるとしても、上記のような法律上の効果とは別に、他人であった人間と人間とを法が結びつけるという、ある意味、人間愛を法に反映した制度であると思います。だからこそ万国に共通する制度なのでしょう。
 このような制度なのですから、日本人はブラジルのように、もっともっとこの制度を広め、本来の目的に沿った形で運用されるように努力する必要があります。今度、日本政府及びブラジル両政府の努力により、多くの子に温かい家庭が与えられることを願わずにはいられません。