スト対応に新しい兆し

 〃グレービ(スト)のカーニバル〃に新しい兆しか――。W杯を目前に控え、毎週毎週、新しい職種がストにはいる異常な状況だ。その中でメトロ従業員組合ストに対し、サンパウロ州知事(PSDB)が一歩も引かない断固とした姿勢で臨んでいるのは新しい兆しを感じる▼調子に乗ったメトロ組合は司法判断を無視し、日曜には「スト過剰」判決まで受けた。それを根拠に翌9日に州政府はスト主導者や破壊行為者42人の解雇を発表した。組合は10、11日だけスト一時停止、解雇撤廃を主張して開幕試合の12日にスト再開(!)を総会で決めた▼その一方、MTST(家なし労働者運動)の指導者ギリェルメ・ボウロスは連邦政府と直接交渉して、不法占拠地区を低所得者向け集合住宅にする約束を取り付け、勝利宣言をだした。つまり〃血のコッパ〃はなくなった▼両者は実に対照的だ。労働者にスト権があることは誰も疑わないが「どこからがやり過ぎか」が問われていた。それに対し、かたやサンパウロ州知事は司法判断をテコにきっちり線引きをした。一方、組合を支持母体とするPT政権は従来どおりMTSTのゴリ押しを飲み込み、その出費を国民の税金で賄おうとしている▼組合に押されっぱなしのPTに比べ、今回のサンパウロ州知事の態度は新鮮に見える。通常、選挙前に政治家は敵を作りたがらない。でも今回ばかりは、通勤の足を奪われた市民の多くが大迷惑を被り「行き過ぎ」だと思っている。その雰囲気を敏感に察知し、ストに断固たる処置を執った方が共感を得ると判断したようだ。まだ予断は許されないが、もしPSDB人気がこれを境に高まるなら大きな潮目だ。(深)