在日ブラジル人=本格的な互助支援開始へ=ブラジル文化福祉センター設立=ブラジリアンプラザを買収=文協や援協に協力求める

 社団法人「日本海外協会」(今村忠雄会長)とNPO法人「交流ネット」(舩津丸謙一代表)が、在日ブラジル人の障害者や高齢者のデイサービスなどを目的とする「ブラジル文化福祉センター」を設立し、7日に群馬県邑楽郡大泉町で事務所の開所式を行った。出稼ぎ派遣業務などを行なってきた株式会社「アバンセコーポレーション」の林隆春代表取締役が筆頭協力者となり、同町のショッピングセンター「ブラジリアンプラザ」を買い取り、2階部分を施設として活用していく見通しだという。

 同センターの広報として協力を呼びかけているNPO法人「ABCジャパン」(神奈川県横浜市所在)の橋本秀吉理事長は、在日ブラジル人社会が抱える諸問題の深刻化について懸念を抱いてきた。「デカセギ労働者は高齢化だけでなく生活保護を受ける者、障害児童を抱える家庭など様々な困難に直面している」とセンター設立の背景事情を訴えた。
 広報資料によれば32万人いた日系ブラジル人は、08年のリーマンショックを機に13年には18万人まで減少。在日社会はかつての熱意と連帯を失いつつあり、不安を抱えた中での生活を送っているという。高齢化問題も浮上し、今後60歳以上が毎年2千人、5年後には毎年2500人程度が退職する見通しという。
 林さんが経営する『アバンセ~』は、グループ企業として日本人向け21介護施設を、外国人向け障害児童のデイサービス(日帰り支援)も三重県四日市で運営するなど、すでにノウハウを持っていることから「いずれはブラジル人用老人ホームを開始したい」という話も出ていた。
 橋本さんは「日本移民がブラジルで文協、援協などを設立して成功した例を手本に、日本でブラジル人支援を展開したい。今回は援協などに協力をお願いするために来た。まずはブラジリアンプラザ2階の一角を事務所として使用し始めるが、将来的には施設全体を利用し、在伯日系社会の総本山である文協のような役割を担いたい。各伯系団体とも横のつながりを強化し、在日コミュニティーの中心となれれば」との将来展望を語った。
 同センター代表者には、日本海外協会の今村会長が就任した。1966年に設立し、かつては海外移住業務、現在は国際交流を行なっている老舗団体だ。同会長は広報資料の中で「日本人とブラジル人、南米の人たちが仲良く共生できるよう、同センターを大泉に定着させ日本全国やブラジルにも活動を広げる」と趣旨を説明している。同じく林さんも「日本のブラジル人コミュニティーの絆が日増しに弱くなっている。今一度大きな連帯を作り、共に生きて行くための活動の場にしていきたい」と抱負を述べている。