安倍首相=ブラジル農業の全面支援表明へ=8月来伯、大統領との会談で=輸送路や港湾インフラ整備=日本の食料輸入先多様化狙う

 【共同】日本政府は12日、世界有数の穀物輸出国であるブラジルの農業を全面的に支援する方針を固めた。安倍晋三首相がブラジルを訪問し、ルセフ大統領との首脳会談で表明する。ブラジルが穀物の輸出をさらに増やせるように、農産物の輸送路や港湾をはじめとするインフラの整備を後押しする。日本の食料の安定輸入先を広げる狙いもある。

 世界的なトウモロコシや大豆などの需要拡大に合わせ、ブラジルも生産を増やしているが、集荷したり、輸送したりするルートの整備は遅れており、輸出の障害になっている。日本政府は世界の食料需給の安定につなげるためにも、ブラジルの農業の発展を支える必要があると判断した。
 具体的には、インフラを整備するプロジェクトに日本企業が参加しやすくする。日本の民間銀行がブラジルの農業関連企業に融資する場合、独立行政法人の日本貿易保険が保険を適用し、日本企業がブラジルの企業に出資するときは、必要なお金を国際協力銀行(JBIC)が融資する。
 日本とブラジル双方の官民が参加する協議会もつくり、ブラジル国内の輸出ルートの改善に継続して取り組む。
 日本とブラジルは1979年から2001年まで、中部地域を開墾して農地を造成する大規模プロジェクトに協力して取り組んだ。総事業費684億円のうち日本は279億円の政府開発援助(ODA)を供与した。その結果、ブラジルの大豆の生産が飛躍的に増えた。
 安倍首相は7月25日から8月4日の日程でブラジルやメキシコ、チリなど中南米5カ国を歴訪する方向で調整している。