樹海

 27日はサンパウロ市東部のアレーナ・コリンチャンスことイタケロンでコリンチャンス対パルメイラスの試合があったが、試合前に流れた報道に「たかがサッカー、されどサッカー」と思わされた▼27日の試合は伝統カードといわれる一戦で、100年を超える歴史を持つライバル同士がぶつかれば流血の事態も予測されたため、同会場では「お客」の立場であるパルメイラスファンは地下鉄を使わず、チャーターバスで行く様にといった注意まで発せられていたからだ▼だが、同チームのファン全員がチャーターバスで行く事が可能な訳ではなく、地下鉄で行くと宣言する人もいる中、バラ・フンダに一度集まってからCPTMのルス駅に行き、パルメイラスのファンだけを乗せる電車でイタケーラの次のドン・ボスコに向かい、そこから4キロを警察の警備付で歩くという策が採られた▼個別にスタジアムに向かう人には地下鉄アルトゥル・アウヴィンから歩くが、チームのユニフォームやチームカラーの緑は使わないなどの注意が呼びかけられ、早めに会場に入るといった自衛策を採った人もいた▼掲示板もコリンチャンス側がロゴマーク入りだったのに対し、パルメイラスにはSEPの頭文字のみという気の遣いよう。幸い(?)コリンチャンスが2対0で勝利し、パルメイラスファンが襲われるといった事態は起きなかったが、試合一つでここまで神経を使わなければならないのもブラジルだ▼W杯開始後は抗議行動も下火になり、W杯やサッカーの「精神安定作用」に感服した後に味わった国内戦ならでは緊張感。混乱もなく終了の報道に胸をなでおろした事だった。(み)