安倍首相=中南米訪問で1日にブラジルへ=トップ外交でビジネス支援=油田開発や新薬検査支援か=2日はサンパウロ市、文協歓迎会も

 安倍首相が今週金曜日、1日に中南米訪問の最終地ブラジルに到着する予定だ。今月25日から5カ国を訪問し、各国首脳らと会談を行なってきた。当地でもジウマ大統領との会談が組まれ、2日にはサンパウロ市文協での歓迎会などに出席する予定だ。リオ五輪の次大会が東京という二国友好の絶好のタイミングであり、現役首相としては小泉純一郎氏以来10年ぶり、祖父岸信介が日本の首相として南米初外交を繰り広げた縁の地とあって、旺盛に日系人との懇談を予定するほか、経済、医療、スポーツ、和食など各分野での関係強化が期待されている。

 年頭の首相施政方針演説でも「地球儀を俯瞰する視点で、戦略的なトップ外交を展開」と強調した同首相だけに、地球の反対側は外せない重要な地域だ。
 25日に日本を発った後メキシコで首脳会談を行い、トリニダード・トバゴへは両国の外交関係樹立50周年を機に、初の首相訪問を実現させた。コロンビアでも関税撤廃など取引円滑化に向けたEPA(経済連携協定)の交渉加速について、サントス大統領と一致するなどの成果を挙げている。
 当国へは1日に首都ブラジリア入りし、ジウマ大統領との首脳会談、日伯財界の要人による意見交換会が予定される。
 首脳会談後には共同記者会見・文書発表式が行なわれ、海底油田開発を後押しするための巨大洋上基地建設に関する取り組みや、国際協力機構(JICA)による技術指導などの人材育成事業拡大に向けた共同声明があると思われる(22日付詳報)。その他、日系議員や現地の日系諸団体、日本と縁のあるサッカー関係者を招いた交流会も予定される。
 サンパウロ市では2日にイビラプエラ公園を訪れ、恒例の開拓先没者慰霊碑の参拝や日本館視察を行う。文協大講堂での歓迎会、移民史料館視察、日系議員・日系諸団体との懇談も予定される。
 JETRO(日本貿易振興機構)が行なうビジネスセミナー、医療シンポジウムにも出席する。医療分野では新薬検査の迅速化を図り、日本企業への受注加速を実現させたい意向(24日付詳報)だという。
 リオから引き継ぐ形の東京五輪を盛り上げるための支援や、ユネスコ無形文化財として登録された和食普及など、多義にわたるトップ外交が展開されそうだ。

昭恵夫人は独自日程で

 同行する昭恵夫人もまた積極的に各地へ赴く。サンパウロ市内では2日、当地で活躍する日系人女性との会食やカルモ公園のさくら祭りに参加し、日系福祉施設を訪問。日語教育関係機関との懇談会も予定する。
 これまでの諸外国歴訪では、首相夫人の初訪問が実現したアフリカの地で、長靴姿で農作業を手伝い、スラム街にも足を運んだ。形式にこだわらない独自の親睦路線を歩んでおり、今回の中南米訪問に関しても、交流サイト「フェイスブック」を通じ、日本語学習者との懇談や、教材寄付の様子を発信している。個性ある夫人の独自外交にも注目が集まる。