【安倍首相来伯特集】日伯ビジネスフォーラム開催=「ジュントス精神で発展を」=首相が日伯共同体を強調=日本から約70社200人出席=アウキミンサンパウロ州知事と署名

会場の全景(撮影=望月二郎)

会場の全景(撮影=望月二郎)

 安倍晋三首相は2日午後から、サンパウロ市内で行なわれた『日本・ブラジル・ビジネスフォーラム』に出席し、約25分に及ぶ記念講演を行なった。中南米政策に関するこのスピーチでは、三つの指導理念を掲げて『日本と中南米、Juntos!(一緒に)』と宣言し、同行した日本経済団体連合会(榊原定征会長)や、ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事などの来賓はじめ来場者330人から共感の拍手が送られた。

 主催者あいさつに立ったジェトロ(日本貿易振興機構)の石毛博行理事長は、「地理的には遠く離れている日伯だが、100年以上の移民や多数の進出企業があり、心理的には非常に近い。絶えずお互いに交流し、発展できる機会になれば」と趣旨を説明した。
 安倍首相はスピーチで『プログレジール(進歩する)・ジュントス』『リデラール(導く)・ジュントス』『インスピラール(発想する)・ジュントス』という3指導理念を挙げ、ともに発展する方針を示し、ウジミナスやイシブラスの合弁事業、リオ・サミット(92年)による環境保護、セラード開発による日伯の結びつきを振り返った。

中南米政策を語る安倍首相(撮影=望月次郎)

中南米政策を語る安倍首相(撮影=望月次郎)

 大型の有人潜水調査船による事業にも触れ、「昨年4月に『しんかい6500』がブラジル沖合に潜った。日本とブラジル双方の科学者たちが知恵と汗、努力を持ち寄った共同研究だった。何よりも大きな収穫だったのは、科学者同士に本当の友情が生まれたことだ」と話し、仲間を得た喜びが大きな成果だとした。
 「リオから夢のたいまつを引き継ぎ、2020年に東京で五輪が開催される。私は日本の若者に、どしどし世界に出て外国の若者と触れ合うよう促し続ける」と約束し、結びに「発展を共にしましょう。世の中を良くしていくため一緒に働きましょう。魂と魂が触れ合って深い共感を育てるよう、人と人との交流に力を注いでまいりましょう。日本と中南米、ジュントス!」と締めくくった。

アウキミンサンパウロ州知事と握手を交わす首相(撮影=望月二郎)

アウキミンサンパウロ州知事と握手を交わす首相(撮影=望月二郎)

 当日はアウキミンサンパウロ州知事も出席し、日本との協力関係を訴える挨拶を行い、署名式に臨んだ。
 安倍首相の退席後は、参加企業による事業紹介がされた。首相の中南米訪問に同行した経団連加盟社は約70社に及び、今フォーラムで日本側の出席者は200人を越えた。三井物産、トヨタ、三菱重工、IHI、ヴァーレ、ブラデスコ銀行など23の企業・団体(日本側17、ブラジル側6)が登壇し、創立から当地進出の経緯、今後の展開などを説明した。

フォーラムの会場で署名を交わす安倍首相とアウキミン州知事(撮影=望月二郎)

フォーラムの会場で署名を交わす安倍首相とアウキミン州知事(撮影=望月二郎)

 中には日本学術振興会、海洋研究開発機構といった研究機関も含まれ、「国境なき科学」での人材交流、海洋エネルギー開発に関わる、造船分野での技術貢献などを確認し、企業の枠組みを超えた連携を求める声が挙がった。