商議所=安倍首相来伯の成果を報告=梅田大使「満足して帰路に」=様々な分野で連携を強化=日本中小企業進出を支援も

 ブラジル日本商工会議所(藤井晋介会頭)の「8月定例昼食会」が8日、サンパウロ市内のインターコンチネンタル・ホテルで行われ、梅田邦夫駐ブラジル日本国大使が「安倍晋三総理来訪の成果などについて」をテーマに講演を行った。梅田大使は約200人の来場者を前に日程上の工夫や苦労を語り、「安倍総理ご夫妻は、非常に満足して帰国の途に着かれました。皆さんの協力のおかげです」と首相訪問成功の感謝を述べた。

 梅田大使は「首相来伯によって、ブラジル内で低下している日本の存在感を高めること、日系社会との連携を強めることが目的だった」と話し、来伯中の政務を振り返った。
 首相来伯の重要な成果として「安全保障分野で情報交換が行える『戦略的グローバル・パートナーシップ』となったこと」を強調し、年次外相会議、外務・防衛当局間の対話開始や頻繁化を挙げた。
 さらに一般旅券保持者に対する数次ビザ(観光査証)発給実施が1、2カ月後から開始される見込みだと報告され、2年後のリオ五輪、6年後の東京五輪に向けて、二国間の行き来の増加が期待されるようだ。
 10年前の小泉首相来伯の流れから設置された「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」では今回、ブラジル国立経済社会開発銀行との間で業務協力のための覚書が交わされ、日伯政策金融機関の協調による日本の中堅・中小企業のブラジル進出支援に関し、81億ドルもの大型融資が行われることになった。
 また同賢人会議のメンバーに日本経済団体連合会の榊原定征会長が入ったことで「会議の重みが増した」との喜びの報告もあった。
 日本企業代表者やブラジル閣僚が参加した経済セミナー、医療分野規制に関するセミナーに対し、「出席者は確かな認識を得られたと思う」との手応えを語り、著名なサッカー関係者を招いて行われた「サッカー感謝の集い」については、「安倍首相来伯直前に、ドゥンガ氏のブラジル代表監督就任が決まり、参加が突然取り止めになるのではと心配しきりだった」と内幕を明かした。
 外交関係樹立120周年に向けての記念行事開催について、首脳会談で合意があったと話し、「今月末には実行委員会を立ち上げる予定だ」と語った。県連日本祭りについても、安倍首相から「120周年を契機にして日本祭りにきちっと関わっていかなければいけない。ずっと続くように考えていかなければいけないよ、と宿題を課されました」と話した。
 日本語教育関連機関を視察した安倍昭恵夫人からも、「日本政府は日本語教育をもっとやらなければいけないと宿題を受けています」と語り、出席者に協力を求めた。