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 宮崎県人移民第一号の甲斐長蔵氏だが、着伯は長らく1915年とされてきた。11年にペルー移民として出国し、亜国を経てブラジル入り。その際に旅券紛失などが重なったため、不明確な部分もあったようだ。しかし、『宮崎県南米移住史』著者・徳永哲也氏の調査により、正確には14年と判明。慶祝団として来伯した徳永氏は、「県人入植年が明らかにできて良かった。少しは貢献できたのでは」と謙遜し、無事今年、入植百周年を迎える喜びを語った。
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 慶祝団として来伯した南米を語る会の野崎ローザさん(50、二世)は、これまで28年間、研修生らの通訳サポートなど行なってきたそう。「結婚を機に私が日本へ移ったとき苦労したから」と、後世への協力理由を語る。功労者には、10年以上、農業研修生を受け入れた県人会アマゾン支部創立者の小野和親・昌子夫妻なども。同制度を支える県人がいる限り、母県との繋がりは深く保っていられそう。
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 アドリアノ・ジョーゴ州議は学生時代に映画に熱中し、実は東洋街の日本映画館に入り浸っていたという。「シネ・ジョイアが一番好きだった。黒澤明監督と三船敏郎が好きで、彼らの作品ならポ語字幕なしでも見に行った」と笑う。特に好きな作品を尋ねると『七人の侍』と『どですかでん』を挙げた。弱い農民を助ける『七人の侍』と、社会的弱者を助ける彼の今の活動には、どこか共通点がある?