文協農業交流=ネリー農務大臣が講演=「世界の食糧安定供給に貢献」=日系7農家ら取り組み発表=ペ州ブドウ農家越山さんら

 文協農業関連交流委員会(桂川富夫委員長)が13日、文協小講堂で『第5回文協農業関連交流会』(文協RURAL)を開催し、農業関係者ら約150人が参加した。冒頭にはネリー・ゲラー農務大臣が約40分の講演を行った。その後、全伯各地の日系農家7人が日頃の取り組みなどを発表した。桂川委員長は「文協の委員会活動に大臣が参加したことは今までにないこと。農家同士の交流、政府との繋がり強化に加え、今後は日本への働きかけもしていきたい」と展望を語った。

会場の様子

会場の様子

 ネリー農務大臣はまず、「日本はブラジルの大切なパートナー。大豆やトウモロコシの生産拡大、配給組織の確立など多くの面で貢献してくれている」と農業における日伯両国の協力関係と日系農家の貢献に感謝し、講演を始めた。
 ブラジル農業は、近年目覚しい発展を遂げ、穀物生産量は10年前に比べほぼ倍増した。その背景には、小規模農家の生産力向上があり、政府の農業機械購入支援政策や減税措置、自治体を通さない農家に対する直接的な融資がそれを可能したと述べた。
 先週、安部順二下議を中心とするグループが、天候不順によって困窮している小規模農家を救済するためのプロジェクトを提案し、7億レアルの予算を承認した。「安部議員の小規模農家に対する政策は現政権の意思と合致する」と話した。
 最後に「ブラジル農業の発展は、世界の食糧安定供給に貢献している。前農務大臣も日本企業の投資を促進したが、今後もそうした動きは続くだろう」と語った。
 ネリー農務大臣は1968年に南大河州で生まれた。84年にマット・グロッソ州で大豆とトウモロコシの農場、穀物燃料の会社経営を始め、96年に市会議員となった。07、11年に下院議員に選出されるとその手腕を評価され、農務政策局局長、国家配給公社の理事に任命される。今年3月に農務大臣に任命された。
 講演をした日系農家7人のうち、ペルナンブッコ州の大規模果実生産業者の越山末巳さん(60、長崎)は、農場の様子や業績展望を発表した。2千人もの従業員を雇い、1万8千ヘクタールの農地でブドウやマンゴーなどを年間3万トンも生産している。越山さんは「今日は日系コミュニティの底力を感じることが出来た。有能な日系農家のリーダーは、まだ沢山いる。そうした人の参加が増えればもっと良い会になるはず」と語った。
 参加者同士の交流も同会の目的の一つで、初参加の山本エジソンさん(53、二世)は、「前田ファビオ実行委員と土地に関する法律の話で有意義な会話が出来た」と喜び、「経験豊かな先輩の話が聞けるのはとてもあり難い。幾つもの困難を乗り越えてきた事も知り、勇気付けられた。また参加したい」と感想を語った。