生きた食物、死んだ食物

 最近、栄養価が高いという「玄米」を日々の食卓に取り入れている。玄米には賛否両論があり、「毒性が強いのでよくない」と言う人もいれば、「栄養素がそぎ落とされた白米こそが毒だ」と言う人もいる。「ウン十年健康なのは玄米のおかげ」という移民に出会ったこともある。やはり自分の健康は自己責任で守るしかないと、日々、試行錯誤している▼昨日は、今話題の「発芽玄米」を作ってみた。玄米を2、3日水につけておくと、芽がぴょこんと飛び出してくる。こうすると問題の毒性が消える上、消化もよくなるという。他の雑穀を混ぜて炊けば、ちょっぴり贅沢な主食が出来上がる▼雑穀や種子類には、動物から身を守り、栄養成分を中に閉じ込めておくための仕組みがある。この「発芽抑制因子」がエネルギー代謝を司るミトコンドリアを傷つけるため、低体温や不妊、免疫の低下などを引きおこすという。玄米食を続けて衰弱する人がいるのは、この因子のせいだとか▼それを無害化するには発芽させれば良いのだが、どの玄米でも発芽するわけではなく、乾燥処理でその機能が死んでいる場合は、何日経っても芽が出ない。市販の安い玄米(長粒米)で試してみたが、5日経っても駄目だった。値段は高めだがKORIN等の無農薬玄米(短粒米)は2日ほどで芽が出たので、財布との相談が必要だがそれだけの価値はあるようだ▼発芽するということは、言い換えれば「生命力がある」ということだ。食べることは〃命を頂く〃こと。普段何気なく食べている物は山とあるが、それらにはどれだけ「生命力」が宿っているのだろうか。小さな玄米の粒が問いかけてきた。(阿)