弁論大会 スピコン=29人が日本語で堂々と発表=120人が来場、関心高く=「自分の視点を持っている」

 ブラジル日本都道府県人会連合会(本橋幹久会長)とブラジル日本語センター(板垣勝秀理事長)は9月21日、サンパウロ市のブラジル広島文化センターで『第35回スピーチコンテスト・第8回弁論大会』を共催した。非日系を含めて弁論の部に12人、スピーチコンテストに17人が出場し、力強い発表が次々に繰り広げられ、会場の家族や友人ほか約120人から熱い声援が送られた。
 スピーチBクラス(日本語能力試験N4からN3程度)は7人が出場した。ソウザ・ギリェルメ順次さん(三世)は、「結局、日系人の国籍とは?」というテーマで、日本語なまりのあるポ語を話すためにアニメ登場人物名の渾名で呼ばれるとの逸話を明かし、「ここでは日本人として見られ、日本ではブラジル人として見られる。私はブラジル人でもあり、日本人でもあることに誇りを持ち続けます」と締めくくった。
 2部のスピーチAクラス(N2程度以上)では10人が出場した。岡本千秋メリッサさんは、「日本のテレビを見て思ったこと」をテーマに、NHKの番組で母親を憎いと感じる人が調査した数の52%もいることに驚きを感じたという。日本の社会について、「豊かな生活のためにはお金が必要かもしれないが、愛が最も大切」と発表した。
 弁論の部のテーマは「好きになった日本文化」。飛瀬マリア・ジュリアさんは原爆展で悲惨な様子を見て衝撃を受けた反面、日本人の互いに支え合い復興する姿に感動したとし、「辛く悲しいときに助け合えることは立派な日本文化です。これは本当に素晴らしい」と語った。東日本大震災でも日本人の立ち直る姿に感動したと述べ、「そのような姿を日系人として誇りに思う」と発表した。
 審査員講評でサンパウロ日本人学校校長の村石好男さんは、「日本文化の捉え方も様々あるのだと勉強になりました。内容が自分のものとして発表できていることが素晴らしい。自分の視点を持っていることが大切」と話した。閉会の辞で弁論大会担当の山田康夫県連副会長は、「皆さんの質の高さに感服しております。ぜひ、これからも頑張って」と満足気に話した。
 審査員は日本語教育関係者ら5人で、審査委員長は松原礼子氏(サンパウロ州立総合大学教授)が務めた。スピーチは3分から6分まで、弁論の部は5分から7分までの時間制限があった。
 結果は次の通り(敬称略)。【弁論の部】1位=滝浪磨輝、2位=本田稔、3位=飛瀬マリア・ジュリア 【スピーチコンテストA】1位=岡本千秋メリッサ、2位=鳥田ケニ建造、3位=丸屋せいぞう 【同B】1位=中原一男エデルソン、2位=リン・チャ・フィ、3位=広瀬清幸チアゴ