県連ふるさと巡り ペルー=115年経て受け継がれる日系魂=(2)=〃噂の会館〃を初訪問=堂々たる施設に驚嘆の声

 半時間ほどすると、噂のペルー日系人協会会館が見えてきた。出発前、「とにかく立派」と数人から聞いていたその会館は、数百メートル離れた大通からも認めることができ、かなりの存在感を放っていた。バスを降りた参加者は、圧倒されたようにレンガ色のビルを仰ぎ、「こりゃすごいね」と次々に感嘆の声を漏らした。

ペルー移住史料館で説明を受ける参加者

ペルー移住史料館で説明を受ける参加者

 初めに訪れたのは10階建ての「神内センター」。神内良一氏の援助で1989年に建設されたもので、下階は高齢者福祉施設、上階は26の県人会の会館が収められている。築25年とは思えない管理の良さで、まるで新築オフィスビルのようだ。
 高齢者が楽しげに歌う声が響くサロンに案内されると、ローサ・ナガマツ所長が一行を出迎え、「月~金まで80人程度の高齢者が各地から集まり、様々な活動を行っています」などと施設を紹介した。いわゆるデイサービスセンターだが、「一日の利用料は食事代の10ソル(4ドル)だけ」と格安である。
 「一世の人?」と聞かれ、挙手したのは1、2人。運営を担う大熊千代子さん(72、二世)は「創立した1992年は一世ばかりだったけど、今は75~90歳の二世がほとんどです」と説明し、「ここの活動はとっても楽しくて、私にとってビタミンのようなもの。私も高齢者だけど、まだまだ力があります。あと二年したら参加者になるつもりだけどね」とはつらつとした笑顔を見せた。
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 ペルーにおける日本人会の興りは、1910年に結成された「日本同志会」に遡る古い歴史を持つ。1912年に一世が中心となって「日本人協会」へと改名し、以降、地方にも次々と日本人会が誕生したという。84年に初の二世が会長の座を引き継ぎ、「ペルー日系人協会」へと発展的に解消した。
 現在の場所に会館が出来たのは67年。「日本人ペルー移住史料館」の伊芸(いげい)ホルヘ館長によれば、「第二次世界大戦中に日系人の財産が接収されたので、その謝罪として66年、ベウランデ大統領(フェルナンド・ベラウンデ・テリー)が無償で土地をくれたのです」。初めは1階建ての会館のみだったが、後から徐々に施設を増設し、今に至る。
 1万平米の敷地には、神内センターのほか、イベント用大ホール、1025人収容の大劇場、ゲートボール場、医療センター「ポリ・クリニコ」、前述の移民史料館などが併設されており、ペルー日系社会が誇る総合施設となっている。
 「一部は神内良一さん(日本の実業家)と日本財団の寄付で作ったもの。節目、節目に委員会が日本に寄付を頼みに行っています」。リマのプエブロ・リブレ区には、99年の移民百周年時に創立した病院も別にある。これらの施設が会館の運営費をはじき出しているという。
 サンパウロではたくさんの日系団体が独自に活動するが、リマでは一つに組織化されているようだ。(つづく、児島阿佐美記者)