情熱のテノール歌手・田中公道さん

 テノール歌手の田中公道さん(77、島根)がなんと17回目の来伯公演中だ。この回数を重ねた歌手を他に思いつかない▼昨年だけで36回のリサイタルやコンサートなどで歌い、オペラ歌手コンクールの審査もした。先日、田中さんはメールで《ここ数年は私のリサイタルの対象がブラジル人になって来ました》と書いてきた。これも他の歌手にはない特徴だ▼いわく、21日にはモジ・グアスー、26日にはアチバイア、28日にはカンピーナスでコンサート、イタリア系が主催する30日のジュンジアイでのリサイタルなども完全にブラジル人対象で企画中とか。客層の広さと共に、年齢を感じさせない行動力に驚かされる▼10年10月15日付け本紙で、田中さんは当地の観客に関して《「情熱的です。オペラ『Turan dot』で「誰も寝てはならぬ!」などを歌いますと、中ほどに合唱の部分がありますが、それが客席から聞こえてくるという嬉しい現象が起こるなど、身近な感覚で聞いて頂けることが非常に嬉しい」とし、歌唱後の立席喝采も違うという》と語っていた▼すでに再来年の予定まで入っている。《2016年のブラジル島根県人会創立60周年記念式典にも出席を要請されていますので、訪伯出来るよう鍛錬を続けます。その時には年齢が79歳になりますので、オペラを歌うことに少し不安もありますが、生涯現役オペラ歌手を目指して挑戦しています》という「オペラ座の怪人」ならぬ、〃オペラの鉄人〃ともいえそうな心強い一言も▼18日午後1時からはサンパウロ市の熟連会館で独唱会が開かれるので、ご自分の眼(耳?)で確かめてみては。(深)