文協ビル改修は年内終了?=一部未完も12月お披露目へ

 2012年3月に大塚商会の大塚実名誉会長から、ブラジル日本文化福祉協会(木多喜八郎会長)へ寄付された1億円(約200万レ)に関わる『大塚プロジェクト』について30日午後、同協会でビル改修工事の進捗状況を説明する会見が行なわれた。木多会長は工事終了を12月12日と定め、同日にお披露目式典を行なうと発表したが、一部は未完となる見通しとなった。
 冒頭では今寄付の仲介役となった、在伯ジャーナリストの日下野良武さんが改めて経緯を説明した。分配は最終的に大講堂、体育館に約75万レずつ、3階の移民史料館事務所に約50万レ、イビラプエラ公園内日本館に約3万5千レとなった。

天井を設置中の体育館

天井を設置中の体育館

 着工遅延に対しては、今年4月の評議員会で述べたと同様、「消防法に準ずる設計のし直しや、エアコンの加重に耐え得る天井改修が必要となるなど、新たな作業が次々と生まれた」と弁明し、予想外の工程増を理由に挙げた。
 大講堂は8月の安倍晋三首相来伯に合わせ、傷んだ座席の交換、エアコン設置と電気回路の整備、正面入り口の改修を行なった。内壁に耐火塗料を塗ることや、全座席の部品取替え作業を残す。
 体育館は会食で使用できるような多目的ホール化に向け、改修の真っ只中。アルミ製の屋根を新調し、新たに天井を設置している。アルキバンカーダの改修も予定するが、山下譲二副会長や中島エドゥアルド事務局長は、「年明けにずれ込む可能性も」と見通しを語り、一部完了しないことを示唆した。また手前の展示室でも10月26日の古本市終了後、床タイルの張替えなどを行なっている。
 移民史料館の3階事務所は山下リジア史料館運営副委員長が案内した。エレベーターホールに受付兼事務室を設置し、現在も移転作業を行なっている。資料検索システムの構築、着物保管室など同時並行で別の作業も進めるが、「『大塚プロジェクト』にかかる改築はほぼ終了した」と話した。
 日本館でのシロアリ駆除は、来年5月に予定する中島工務店の自費改修後に実施する。
 「任期中の改修完了に喜びを感じる」と語った木多会長は、来年4月の会長選を控え、同席した山下譲二副会長を後任に押し、「いずれにせよ新会長にはリフォームした多目的ホール賃貸などを収入源に、健全な運営に最大限活用してほしい」と期待した。