W杯とリオ五輪の間で

 「来年のエメンダ・パルラメンタール(議員割り当て金)を貰うのはすごく難しいよ」。選挙後、日系議員の補佐官らは口をそろえて言う。理由を問うと、「サンパウロ州政府は雨不足の対策工事に費用がかさんでお金がない。連邦政府はW杯の開催費用の借金払いと、リオ五輪の建設費用が膨らんだ上に、ジウマが政府支出をぎゅっと締めようとしている。来年は最低限のものしか出ない」と一気に説明し、ゆっくり、ため息を吐いた▼さらに「特にイベントへの割り当て金は難しい」と釘を刺した。日系の大型イベントの大半が割り当て金を当てにしている。それを考えれば、来年の日伯外交樹立120周年を冠とする数々のイベントは、下手すれば開催困難な状況にすら追い込まれる可能性がある▼難しい状況に輪をかけているのは、サンパウロ州における〃ねじれ〃の構図だ。サンパウロ州はPSDBの天下だが、連邦政府はPTとPMDBで、与野党が逆転している。「割り当て金の財源が厳しい仲、当然、与党議員の方を優先する」という。サンパウロ州の日系州議で与党なのは西本エリオ州議(PSDB)だけ。連邦ではカサビPSD党首が大臣になると噂され、同党で当選した飯星ワルテル下議は安泰だし、補欠1位の安部順二下議もほぼ確実に繰り上がると予測されている▼ただし、なり行きが心配されているのは、PSD連立のPPのパウロ・マルフ下議がフィッシャ・リンパ法で裁判係争中だが、もし「出馬可能」判決となれば、飯星が補欠1位に、安部が同2位に下がってしまう点だとか▼いずれにせよ、雨不足、W杯やリオ五輪開催の悪影響は来年、じわじわと様々な形で出てくるようだ。(深)