次々に活性化する南聖地域=ミラカツで新会館落成式=70家族が5年掛りで建設=「火が消えたようだったが」

 「リベイラ沿岸日系団体連合会では次々に会館の改修や新築が進んでいる」。30日正午から行われた南聖のミラカツ文化体育協会(金城清正会長)の新会館落成式で、同連合会の山村敏明会長はそう意気込んだ。活動が停滞していた時期を乗り越え、金城現会長が呼びかけて焼きソバ会などをして資金集めの陣頭指揮を執り、5年越しに実現させた。

慶祝に駆けつけた会員で新会館は一杯に

慶祝に駆けつけた会員で新会館は一杯に

 金城会長は「5年前から寄付集めに奔走し、2年前から建設を始め、ようやく竣工した。多くの皆様の協力に心から感謝します」と感慨深げに語った。同会長によれば、同市の日系人は90家族270人で、うち70家族が会員だ。
 同地生まれのサムエル・モレイラサンパウロ州議会議長やジョアン・アマリウド・ダ・コスタ市長など多くの来賓を始め、200人を超える会員ら関係者が集まり賑わった。
 まず遠藤寅重さん(トレスバラス文協会長)が生長の家方式の祓い清め式を行い、続いてフラビオ・デ・オリベイラ神父が新会館に祝福を与えた。当日は当時最古参の金城キュウセイ・アントニオさんと長田栄治さんの貢献に感謝する金属プレートが授与された。
 96歳の長田さんがマイクを握り、1938年に始まる同会の歴史の概略を語った。戦争中に一端解散したが、当時のジョアキン・ジアス・フェレイラ郡長の特別の配慮でブラジル人と一緒の青年会を発足させ、戦後は勝ち負けに分かれて会館を作ったが1965年頃に統一され、現在の場所に旧会館を作っていた。
 モレイラサンパウロ州議会議長も「子どもの頃、旧会館でフェスタによく参加した。立派な会館が再建され嬉しい。市にとって重要な拠点だ」と慶祝の言葉を寄せた。コスタ市長も「教会でも建設するのは大変。市制76周年の日に合わせ、70家族でこの会館を作るのは大変だったろう。日系人は常に市の発展に大きな貢献をしている」と述べた。
 持ち寄りの昼食後、市岡ヒロフミ・パウロ元会長はマイクを握り、「かつて会館には喜びが溢れていた。一時期、火が消え、見放されていたようになっていた。かつてのように団結し、新年会、誕生日会、太鼓をここでやりましょう」と力強く呼びかけた。
 本紙の取材に対し、元会員の泉タケシ・セルジオさん(64、二世)は「とても良い会館ができた。でも器だけではだめ。隣のペドロ・デ・トレドは昨年から沖縄祭りを始めて再活性かしている。ここも負けていられない」と刺激を受けているようだった。
 サンパウロ市サンマテウス在住の照屋寛和さん(76、沖縄県うるま市)は、ミラカツに別荘がある関係で会館建設に寄付を寄せた。「焼きソバ祭りやって資金集めしている様子を見て感激した。完成してとても嬉しい。会員になろうかと思っている」と語った。
 移民百周年(08年)のために結成された同連合会。傘下12団体の大半が会館修復や新設、新イベントを続々と始めている。山村連合会長は「わずか70家族でこれだけの会館が作れることは他にとっても刺激になる。来年はイタリリーで入植百周年、会館改修の話も出ている。南聖はお互いが刺激し合って再活性化している」と頷いた。