トメアスー農協=FINEP社会技術賞受賞=忘年会で坂口理事長が報告=「融資得てさらなる普及を」

 【パラー州ベレン発】トメアスー文化農業振興協会(乙幡敬一会長)が昨年12月20日夜、忘年会を行なった。その席上でトメアスー総合農業協同組合(CAMTA)の坂口フランシスコ渡理事長が11月26日、リオで開催されたブラジル調査・研究事業機構(FINEP)の北伯地方・社会技術部門2014年度表彰式で、同農協が取り組んでいる「トメアスー遷移型アグロフォレストリー(森林)農法」が優秀賞を受賞したことを報告した。

トメアスーの遷移型アグロフォレストリー(森林)農法

トメアスーの遷移型アグロフォレストリー(森林)農法

 坂口理事長はトメアスーの農業の変遷と森林農法の誕生について、同組合の歴史を紐解きながら、受賞に至った経緯を細かに説明した。
 「1929年に日本移民により、野菜、穀物類、カカオ等を栽培するために、原始林の中に設立された。病気と貧困に直面したが、ピメンタ・ド・へイノ(胡椒)を導入したことにより、第2次大戦後、黒胡椒による〃黒ダイヤブーム〃で繁栄と富をもたらすことができた」と述べた。
 60年代に蔓延したフザリウム菌によって犯されて胡椒の全盛期は終わった。その後、森林農法が開発されて、病気が克服された。現在は「アマゾン地方とボリビア国の24の環境プロジェクトを共有している」という。
 09年に発行された記念誌『トメアスー総合農業協同組合創立六十周年史』には、アグロフォレストリーの誕生に繋がる熱帯農業の提唱者であった故坂口陞(のぼる)氏について、《農事部担当理事であった故坂口氏が数日間アカラミリン川を下りながら、アマゾンの農業と暮らしを見直すための調査を行なう》と記してある。川岸住民の大自然に溶け込んだ、羨ましいほどの素朴でしかも豊かな暮らしぶりに、同氏は心から感動した。
 《様々な果物の木が一見無造作で雑然と植えられていたが、よく見ると自然の植生にもよく似た生態的構成を成す畑の姿だった。坂口氏は『その姿こそ、アマゾンの自然の摂理にかない、人に豊かさをもたらして止むことのない理想的な畑の形である』と確信するに至ったのである》と記されている。
 11年、13年は3位だったが14年度表彰で見事1位に輝いた。坂口渡理事長は本紙編集部の電話取材に、「歴史や成果が総合的に認められた結果。ボリビアなど国外での技術指導も評価されたと思う」と喜びの声を伝えた。
 「20万レの現金を受け取り研究費に充てられる。今後は国から融資(規模に応じて10~20万レ)も受けることが出来るため、北伯だけでなく全伯各地で普及指導する活動などを進めたい」と語り、さらなる飛躍を誓った。(パラー州通信員 下小薗昭仁)