PIPAに州医療施設認定=自閉症児SUS適用可能に=15人に新規で33人受入れ

 サンパウロ日伯援護協会の運営する自閉症児療育学級「青空学級」(PIPA、井上健治代表)が昨年10月29日、サンパウロ州保健局から「医療施設」として認定された。これにより、SUS(統一医療保険システム)との業務提携が可能となり、諸条件を満たす自閉症患者はSUS扱いでPIPAを利用することが出来るようになった。PIPAには現在15人の児童が在籍しているが、SUS適用を受け、新たに33人の受入れを行うことを決めた。菊池善治会長は「PIPAを通じて当地に自閉症療育を確立していきたい」と意気込みを語った。

 医療施設認定に伴いPIPAは、精神科医、言語聴覚士、心理学者、理学療法士、作業療法士、看護士で構成された医療チームを設けることが義務付けられ、SUS扱いの患者1人につき、毎月1236レアルがサンパウロ州から支払われることになった。
 SUSの対象となるのは以下の4条件を満たす者。(1)専門的な治療が必要な自閉症患者であることを証明する医師の診断書がある(2)5~9歳の男児(3)健康に悪影響の無い程度の運動に参加できる(4)1週間で最低22時間半を施設利用に充てることが出来ること。
 新規の利用者の受入れなど規模が拡大していくことに対し、井上代表は「今は、教師1人が2~3人の児童を担当している。これからは、日本のように教師1人で10人の児童を担当できるようになる必要がある」と教師養成の必要性を述べ、「状況が整えば、各地にPIPAの支部を作る見通しも立つ」と語った。
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 PIPAは06年に運営が開始され、薬を使わずに自閉症治療を行う「日常生活療法」の第一人者である三枝たかこさんがJICAシニアボランティアとして当地に赴任し、技術を伝えた。
 PIPAは順調に運営を続け、13年には、JICAから「草の根技術協力事業・協力支援型」の枠組みの中で3年間の期限、上限2500万円の支援を得て、職業訓練事業の実現を目指してきた。
 来年には契約期限を迎えるが、PIPAは新たに5年間の期限、1億円を支援上限とする「草の根技術協力事業・パートナー型」での事業継続を目指している。JICAブラジル事務所の遠藤浩昭次長は、「州政府が認めたことからもわかるようにPIPAの活動成果は大いに認められるもの。次回の草の根協力が実現するかは未定だが、前向きに検討したい」との認識を示した。