福岡県が新たな派遣事業=「グローバルステージ」開始=青年を県民の移住先国へ=若い人同士の交流促進を

 福岡県が今年から、県人会のある国々に県内青年を派遣する新事業「グローバルステージ in BRAZIL / in HAWAII ~フロンティアに挑んだ先人に学ぼう~」を開始した。毎年2地域を訪問予定で、今回は移民史の古いブラジル、米国ハワイに5人ずつを派遣。当地では1日から、同県国際交流局交流第二課課長の武田誠一さん(団長)、福岡県国際交流センターの加藤奈美さん率いる訪問団5人が、8日まで県人会関係者との交流等を行っている。県費留学生や研修生が次々に規模削減・廃止される一般的な風潮に逆行するような、国際交流を重視した粋な取り組みといえそうだ。

 同県では、県民の子弟招へい制度と、毎年10人を受け入れる県費留学制度を長年続けているが、青年を海外へ派遣する事業はなかった。
 武田課長によれば、2013年10月に同県で「海外福岡県人会世界大会」が開かれ、約300が集って今後の交流のあり方について議論した結果、「若い人同士の交流がなければ関係は続かない。青年を現地の県人会に送ろう」との方針が決まった。
 同課長は「海外の福岡県人会の活動は活発で、現地での影響力が強い人も多い。それに、知事も国際交流を大事にしている」と事業の追い風となった背景を説明した。
 一般公募を行ったところ、2カ国の募集に計60人もの希望者が殺到。ブラジル組は1日~8日、ハワイ組は6日~14日まで滞在し、県人会との交流のほか現地の政治経済事情を見聞する。
 当地組は、ホームステイをしながらブラジル日本移民史料館、県民が多く移住したスザノの県人会支部や同地農家、三菱商事などを訪問中。ブラジリアで梅田邦夫大使と面会の予定も。
 関西学院大学法学部の平野梓さん(21、福岡)は「授業で外国人労働者や移民のことを調べているので、彼らの母国に行ってみたかった」と参加を希望した。
 筑紫女学園中高等学校でグローバル教育推進準備委員をつとめる東郷秀朋さん(35、京都)は「経済格差を目の当たりにして考え込んだ」と所感を述べ、「学校として、これから生徒たちをもっと海外に出していきたい」と抱負を語った。
【団員名簿】武田誠一、加藤奈美、東郷秀朋、米村淳平、平野梓、平牧子(福岡大学)、東雲雄飛(西南学院大学)

【大耳小耳コラム】

 福岡県の新派遣事業「グローバルステージ」の団員・米村淳平さん(31、福岡)は、「職場にブラジル人が沢山いるので、彼らの住んでいる所を見てみたかった」という。勤務先の九州海外協力協会は、いわば〃JICAの下請け〃で、毎年千人もの外国人を受け入れているとか。知事の理解もあり、国際交流が盛んな土地柄のよう。県庁の武田誠一さんが「交通の便も良く、海外との玄関口なのでオープンなんでしょう」と説明するように、明治維新発祥の地なだけに、国際感覚も先祖譲り?