兵庫県人会=三世の松下さん新会長に=若手中心に55周年を準備=尾西さん、若手に会託す

 兵庫県人会が8日に宮城県人会館で開催した定期総会で、20年間会長をつとめた尾西貞夫さんが勇退し、元研修生で6年間役員を務めた松下大谷マルリさん(51、三世)が新会長に就任した。兵庫県出身者が少ないこともあり、年に一度の新年会とピクニック、農業研修生の受け入れを、同会では長年細々と続けてきた。今回は一転、総会には若者中心に約40人が出席し、活発な議論が繰り広げられた。新会長は「元研修生を何とか会活動に参加させたい。行事をもっと増やし、活性化したい」と意気込んでいる。

 役員改選は単一シャッパの承認でスムーズに行われた。メンバーは従来の役員数人を残し、ほぼ入れ替わった。
 尾西会長は「若い人が立派に成長して来たので、辞めることにした。任期中は創立40年、45年、50年をやり、記念誌を3冊出せた」と振り返り、「55周年記念式典は、若い人にバトンタッチする」と後任に期待を託した。
 松下新会長は「これまで尾西さんに任せっきりだったが、心機一転、新しいメンバーとがんばる。今年の日本祭りも予算が倍近くになるけど、自分たちの責任で何とかしましょう。皆さんよろしく!」と日ポ両語で元気良く挨拶した。
 議題の進行中、会場では盛んに質問や意見が飛び交った。
 「会費50レアルは安い。もっと上げよう」「出せる人は多く出せる仕組みを」といった要望や、「元研修生が非会員のままで連絡も取れない状況はおかしい」などの意見が上がった。
 それを受け、新役員らは2016年には会費を70レに値上げし、研修生に関しては消息を調べてリストを作り、会の活動に参加させる意向と発表した。松下会長は「兵庫は会館がない。若い人を呼び込むため、他の県人会の青年部と一緒に何かできれば」との希望も語った。
 昨年の収入は約5万6千レアル、支出は約6万3千レ。インフレや元事務局長の退職に伴い、約7500レの赤字となった。今年の予算は6万3千レ。新事務局長には、兵庫出身の平井真理子さんが就任している。
 8月23日には静岡県人会で創立55周年記念式典を予定している。母県から知事ら約40人が来伯する見込みだ。
 監査補の喜多山重男さんは、「今まで年寄りばかりでシーンとして拍手だけだったのに、今日は若い人が7割くらい、すごく活発だった」と喜んでいた。
 新役員は次の通り【会長】松下大谷マルリ【副会長】小林ジルセ(第一)、上野聖二(第二)【総務】山本アナ・パウラ【会計】植村エジナ【正監査】天野右郷、尾崎俊彦、衣川レジーナ【監査補】大川満、喜多山重男、高松セルジオ、坂本エレーナ、島田マルシア(敬称略)。

【大耳小耳コラム】

 兵庫県人会の定期総会が、まさかこれほど盛り上がるとは思ってもみなかった。松下新会長が県系の親戚を連れてきたこともあり、若い女性の姿が目立った。役員も半数が女性と、これから彼女たちの活躍が期待できそう。資金集めも、これまでは尾西貞夫会長が兵庫出身の企業から寄付などを募っていたが、松下新会長は「頼ってばかりでは申し訳ないので、自分たちでも何とかお金を集めたい」と意欲的。尾西元会長の勇退で、幸先の良い世代交代のスタートが切られた模様。