憩の園定期総会=カリタス会の後を補い合う=「企業会員をお願いに回る」

 救済会「憩の園」(吉安園子会長)は22日、サンパウロ市文協ビルのエスペランサ婦人会サロンで「第63回定期総会」を開き、52人が出席した。
 1987年より常時3人の修道女を派遣し、住み込みで施設の運営を担ってきた「カリタス修道女会」が昨年1月に運営から手を引いたことで、同園は厳しい状況に直面していた。
 入居者は78人で、大半は80歳以上。43%は親族がおらず、64%は要介護の状態にある。105人の職員が対応にあたっている。
 本田泉専任理事は事業報告で、「昨年は8年間会長をつとめた吉岡黎明さん、1日24時間住み込みで働いていた3人の修道女が辞められた。園は地盤を失いながらも、新しい環境への適応する大変な1年だった」と振り返った。
 吉安会長によれば、カリタス会からの派遣が中止されたのは、同会の人手不足や老人福祉に携わる希望者の減少、園側に「職員数も多くて管理が大変なので、第三者に委託しては」との考えを持つ理事が現れたことなど、複数の要因による。
 昨年から職員が交代で住みこみ、修道女の不在を補っている。本田専任理事は「予算面も厳しく色々と断念しないといけなかったが、入居者へのサービスの質だけは守りぬいた」と強調した。
 今年度事業計画では、ナジラ・カオル・キダ理事から、会員数を増やし、会費収入を月約15万レアルまで引き上げる目標が示された。
 1990年代には8千人もいた会員が今は760人程度に激減し、現在の会費収入は月5万レ弱。収入の確保が課題であり、今後は理事らが企業を回って入会をお願いするキャンペーンが行われる予定だ。
 昨年の収入は396万1273レ、支出は467万1588レで約71万レの赤字となった。一昨年に未利用地を売った臨時収入があり、それを施設改修に充てたために単年度では赤字となった。今年は収入・支出ともに461万5200レを計上した。
 主な議題終了後、40年間同園を支える大浦文雄顧問は、「お年寄りたちは、憩の園を訪れた松柏大志万の生徒ととても嬉しそうに話していた。園からコロニア語はなくさないように」との要望を述べ、「これからも心を一つにしてやってもらいたい」と激励した。
 吉安会長は本紙の取材に対し、「これからは、私たちがシスターの不在を支えていく。『自分を無にして』という精神を受け継ぎ、融和して、日本語をなくさず、10年、15年は一世のためにやっていきたい。百まで現役でいられる老人福祉のモデルケースを目指したい」と穏やかに語った。

 

【大耳小耳コラム】

 救済会の本田泉専任理事によれば、憩の園の入居者死亡率は平均よりもかなり低い。現在の入居者は78人で大半が80歳以上、昨年亡くなったのは12人という数値に専門家も驚いていたとか。入居者が長命なのは、それだけ職員がきめ細かいケアを施しているからだろう。同園創立時より修道女が運営に携わり、「自分を無にして」との精神を実践してきた。たやすく真似できることではないが、カリタス会がぬけた後も、この精神が受け継がれることを願いたい。