現代ブラジルの〃奇習〃とは

 「何かの抗議でバスを焼く」行為と並んでブラジルの〃奇習〃といえるのは、現金自動引出機をダイナマイトで爆破して現金を奪う手荒い手法ではないか。爆破の勢いで建物まで半壊させることが多い。共に社会のゆがみを反映しており、増加傾向だ▼国土が広い割に鉄道が未発達なために、公共交通機関はバスだのみ。困る人が多いことをするほど為政者は譲歩すると思っているから、無茶な抗議行動の典型として〃生け贄の羊〃のようにバスを焼く行為が頻発する。通常の犯罪と違うのは、金品目当てではなく単なる不満の捌け口である点だ。1日付けG1サイトによれば、昨年全伯でバスが662台も燃やされたから立派な社会現象だ▼引出機爆破も、軍や所轄機関が厳しく管理するはずの爆発物が頻繁に盗まれるぐらい治安が悪いにも関わらず、地方にまで引出機が普及するほど経済的に発展しているチグハグな社会でないと起きない類の犯罪だ▼2月4日付けG1サイトによれば引出機爆破は13年に106件、14年は134件、今年は2月初めまでに20件を記録し、年末までに200件越えの可能性も▼パラー州のORMニュース14年12月14日付では《銀行爆破はパラーでフィーバー(流行)》との見出しで、北東伯からきた〃ノーボ・カンガッソ〃(新盗賊団)によって警備の手薄な田舎町を狙って犯行が続発すると報じた。あの地方はランピオンの時代から余り変ってないようだ▼引出機爆破被害総額は年間6千万レアルという。そういえば、ペトロロン汚職横領額は20億レアルだから、実はたいした金額ではない?! 「盛大な汚職」こそがブラジル最大の〃奇習〃か。(深)