日系福音ルーテル教会=貧困層の支援事業を開始=音楽を通した人間作りを

 サンパウロおよびジアデーマ市の日系福音ルーテル教会で、貧困層の子どもたちを対象とした支援プロジェクトが始まった。昨年2月、日系教区担当牧師として赴任したルイス・メロさん(32)が中心となり、音楽教育を通した人間作りに励んでいる。
 主にサンパウロで活動する徳弘浩隆牧師は、「数年前までは日系二世の方が、ジアデーマ教会で地域の子どもに日本語やアルファベットを教えていた。でも先生が亡くなり、プロジェクトが途絶えていた」と語る。
 同教師の死後、ジアデーマ教会を訪れた徳弘牧師は、子どもたちから「この活動のおかげで酒や麻薬をせずに済んだ」「日本語教室がなくなってから友達が泥棒に戻り、警察に打たれて死んだ」などと聞き、教室が健全な生活の拠り所になっていたことを実感。
 「何とか再開したい」との思いから、ポルト・アレグレの本部を卒業したメロさんを同教区に呼んだ。
 「政府からお金をもらってその日暮らしをするのではなく、自分の力で生きることを教えたい」と、1レアルなど無理のない範囲で月謝も徴収。すでに不登校気味だった男子児童が学校に行き始めるなど、効果が表れている。
 両牧師は、「音楽に親しむ子どもは学校の成績も上がるし、人の話を聞いたり人の歌声に合わせることで、協調性が生まれる。人間作りに貢献できれば」と意気込んだ。
 授業時間は、リベルダーデは水曜日午前10時~午後5時の間、ジアデーマは火、木の午前9時、午後7時。内容は楽譜の読み方、合唱、ピアノ、リコーダー等で、月謝は80レアル。1回のみの体験教室も受け付ける。詳細はサンパウロ市のルーテル教会(11・2305・7088)まで。