樹海

 編集部の大掃除が始まって以来、掃除用具として机の足元に酢を常備しているが、先日、編集長に「これ何に使うの? えっ、掃除?」と驚かれた▼食用酢は安全な〃掃除用洗剤〃として、日本の家庭では重宝されている。だが当地ではそのことがあまり知られていないのか、大抵の主婦は掃除というと口をそろえて「『VEJA』がいい」と言う。人気美人歌手クラウジア・レイチが宣伝しているあれだ。確かに市販品の効果は強力だが、化学薬品の多用は考えもの。かぶれなどの皮膚トラブルは珍しくないし、環境汚染にもなるからだ▼酢は、2~3レアルの普通の穀物酢で十分。例えば編集部では、タイルの床掃除に利用する。タイルは時間が経つと目地がどうしても黒く汚れてしまうが、酢を注いで10~15分放置すると汚れが浮き上がり、軽くスポンジでこすればきれいになる。アレルギーなど肌が敏感な人や赤ちゃんのいる家でも安心だ▼また、酸性の酢は水垢や石鹸カスなどアルカリ性の汚れを中和するので、台所や風呂場など水周りにも良い。酢水をスプレー容器に入れて常備し、ガラスや浴槽の曇りに吹きかけてこするときれいになるし、石化した蛇口の白い汚れも酢を布にしみこませて巻いておくと取れてしまう▼経済発展がある程度頂点に達した日本では、エコで自然な生活に還ろうとの動きがある。だが、ブラジルは発展を始めて間もないせいか、薬品にしろ電化製品にしろ、まだまだ近代的な工業製品を好んで謳歌している。大好きな「VEJA」を嬉々として多用する掃除婦に眉をしかめている主婦の皆さん、手始めに酢の利用を教えてみてはいかが? (阿)